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ポーランド 韓国製原子炉の建設に向け合弁企業設立へ

09 Mar 2023

©ZE PAK

ポーランドの国営エネルギー・グループ(PGE社)と国有資産省(MOSA)が一部出資するエネルギー企業のZE PAK社は38日、同国中央部ポントヌフにおける韓国製原子炉の建設に向け、合弁の特別プロジェクト企業を設置する方向で予備的合意に達した。

新会社はこの建設プロジェクトにおける実行可能性調査やサイト調査、環境影響評価など、両社の協力活動を実施する。これまでに行った4か月間の予備的分析調査の結果、両社はヴィエルコポルスカ県東部に位置するコニン地区のポントヌフで、韓国電力公社(KEPCO)の主導で開発された140kWPWR「改良型加圧水型炉(APR1400)」を少なくとも2基(合計出力280kW)建設する可能性を視野に入れている。ポーランドの主要エネルギー・ハブの一つであるポントヌフでは、現在ZE PAK社の大規模な石炭火力発電所が稼働中だが、これら2基を新たに建設することで、ポーランドの総電力需要の約12%に相当する約220kWhの発電が可能になる。早ければ2035年にも初号機が完成するとの見通しである。

ポーランドでは20212月に閣議決定した「2040年までのエネルギー政策」に基づき、政府が約100kWの大型原子炉を2043年までに6基、合計600万~900kW建設するプログラムを進めている。PGE社が設立した原子力事業会社のPEJ社は202112月、北部ポモージェ県のルビアトボコパリノ地区を建設サイトに選定しており、最初の3基、375kW分についてはウェスチングハウス(WH)社製AP1000の採用が決定している。

J.サシン副首相兼国有資産相によると、ポーランド経済のさらなる成長を促すには強靭かつ他国に依存しないエネルギー部門が必要であり、無炭素電力を安定的に供給できる原子力発電は再生可能エネルギーと同様に重要なもの。その意味から、ZE PAK社が韓国水力・原子力会社(KHNP)との協力で進めているポントヌフのプロジェクトは同じPGE社が関わっているが、政府の原子力プログラムを補完するという位置づけであり、今回設置が合意された新会社はKHNP社の直接的なパートナー企業ということになる。企業活動用のプロジェクトという側面はあっても、実現すればポーランドにおけるエネルギーの供給保証と自給強化に資することから、政府としてはこのポントヌフのプロジェクトを全面的に支援していく考えだ。

このプロジェクトについては、202210月に韓国の産業通商資源部(MOTIE)とポーランドのMOSAが関係情報の交換等で協力するための覚書を締結。PGE社とZE PAK社およびKHNP社はその際、企業間協力意向書(LOI)を締結した。同年末までの期間にこれら3社はポントヌフでのAPR1400の建設に向けた予備計画を作成しており、その一部としてサイトでの地震や環境面、地質工学面の条件についても予備的分析調査を実施。このような準備作業や建設段階で必要な予算の見積もりも行っている。

今回、設立が決まった新会社への出資比率はPGE社とZE PAK社はともに50%で、会社としての方針は双方の合意に基づき決定する。この新会社はプロジェクトのすべての段階でポーランド側を代表することになるため、サイト調査や環境影響調査のみならず、詳細な資金調達計画の準備やその後の許認可取得等についても、韓国側と協力しながら進めていく。正式な設立までには、ポーランド競争消費者保護庁(UOKiK)の同意が必要なことから、PGE社とZE PAK社は今後直ちに申請書を提出する方針である。

(参照資料:PGEZE PAK の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA38日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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