米DOE 先進炉開発5社にHALEU供給へ
21 Apr 2025
米エネルギー省(DOE)は4月9日、米国の先進炉開発者の5社に対し、短期的な燃料需要を満たす高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)の供給を条件付きで実施することを明らかにした。DOEはこの1回目のHALEU割当てが、革新的な原子力技術の商業化を促し、より安全かつ安価で信頼性の高いエネルギー供給を保証するものと位置付けている。
ライトDOE長官は、「今回のHALEUの割当ては、米国の先進炉開発者が安全なサプライチェーンから調達された燃料を用いて先進炉を展開するのに役立つ。米国の原子力部門の再活性化をはかるトランプ大統領のプログラムにおいて重要な一歩だ」と語った。
HALEUの割当ては、民間の研究開発、実証、および商業利用に向けてHALEUの国内供給を確保するために2020年に設定された「HALEU利用プログラム」を通じて行われる。多くの先進炉が、既存炉よりも小さな設計、より長い運転サイクル、より高い効率を実現するためにHALEU(U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン)を必要とするが、米国の燃料サプライヤーは現在、HALEUを生産する能力が不足している。そのため、国家核安全保障局(NNSA)管理下の原料や政府所有の研究炉からの使用済み燃料由来の高濃縮ウラン(20%以上のU235)のダウンブレンドを行い、限られた量を製造している状況である。なおHALEUは、通常の商用炉向けの濃縮ウラン製造のプロセスを利用した製造も可能。DOEはウラン濃縮事業者のセントラス・エナジー社(旧・米国濃縮公社:USEC)と提携し、オハイオ州パイクトンの濃縮施設で16台の新型遠心分離機を製造、連結設置し、HALEU製造のための濃縮の実証を行っている。
現状のHALEUの需給ギャップを埋めるためDOEは、先進炉開発者によるHALEU供給申請手続きを開始。15社がHALEU供給を申請した。第1回目の割当てでは、優先順位の基準を満たした企業のうち、2025年中に燃料供給を必要とする3社を含む5社を特定した。
今回、HALEUの割当てを受ける5社は以下の通り。
- TRISO-X社
- ケイロス・パワー社
- ラディアント・インダストリーズ社
- ウェスチングハウス社
- テラパワー社
今回のHALEUの割当てでは、DOEの先進的原子炉実証プログラム(ARDP)の5~7年以内に実証(運転)可能な炉に選定された企業のほか、アイダホ国立研究所(INL)内の国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)が運営するマイクロ炉実験機の実証(DOME)テストベッドで試験を計画している企業、さらにARDPの10~14年後に実証を想定したリスク低減プロジェクトの選定企業を対象としている。次のステップとしてDOEはすでに契約プロセスを開始しており、一部企業は今秋にもHALEUを受取る可能性がある。DOEは今後も追加企業へのHALEUの割当てを継続する計画だ。