原子力産業新聞

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加企業 小型高速炉の導入に向けて協力

03 Jun 2025

桜井久子

「ARC-100」発電所の完成予想図
Ⓒ ARC Clean Technology

カナダを拠点とするARCクリーン・テクノロジー社は513日、カナダの新興エネルギーインフラ開発企業のニュークレオン・エナジー(Nucleon Energy)社とMOUを締結した。ニュークレオン社がカナダ・アルバータ州および米国・テキサス州で進める熱電併給施設および発電施設の開発において、ARC社製の先進SMR設計「ARC-100」(ナトリウム冷却小型高速炉)の設置可能性を共同で検討する。

今回のMOU締結は、ARC社にとって北米における商業展開戦略の新たな重要な一歩であり、重工業や電力網の脱炭素化に向けたニュークレオン社のクリーンエネルギーサイトの開発方針に沿ったもの。両社はニュークレオン社が現在開発中の発電サイトへのARC-100の導入をはじめ、北米での複数展開を視野に設置候補地の評価で協力し、カナダと米国での規制手続きを進めていく考えだ。

ARC-100は、第4世代のナトリウム冷却・プール型の高速中性子炉で、電気出力は10kW。電力とプロセス熱の両方の用途向けに設計されており、石油・ガス、精製、化学分野などにおける脱炭素化イニシアチブに適している。同炉の技術は、米エネルギー省(DOE)傘下のアルゴンヌ国立研究所で30年以上運転された「実験増殖炉Ⅱ(EBR-Ⅱ)」で実証済みだ。ARC社はARC-100の導入計画について、カナダのニューブランズウィック・パワー(NBパワー)社と提携、同社のポイントルプロー発電所(Candu炉、70.5kWe)サイトで進めている。NBパワー社は20236月、同サイトにARC-100を1基建設するため、サイト準備許可(LTPS)をカナダ原子力安全委員会(CNSC)に申請した。ARC-100は現在、CNSCが実施する正式な許認可申請前の任意の設計評価サービス「ベンダー設計審査(VDR)」の第2段階(許認可上、障害となる点を特定)にある。

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