米GLE レーザー濃縮施設のライセンスを申請
09 Jul 2025
米グローバル・レーザー・エンリッチメント(GLE)社は7月2日、同社が建設を計画するパデューカ・レーザー濃縮施設(PLEF)の安全分析報告書(SAR)を米原子力規制委員会(NRC)に提出した。2024年12月には環境報告書(ER)を提出しており、今回と合わせ、PLEFの建設と操業に向けたライセンス申請を完了した。
SARでは、PLEFの安全対策、運用手順、リスク軽減策が包括的に評価されており、原子力の安全性とセキュリティに関する規制基準を満たす内容となっている。ERでは、ガス拡散プラントにおける劣化六フッ化ウラン(DUF6)の再濃縮による環境浄化作業の加速、既存および新規の原子力発電所向けに国内産のウラン、濃縮ウランを供給することで脱炭素化を支援し、西ケンタッキー地域での雇用創出、エネルギー安全保障の強化などを利点として掲げている。GLE社は審査プロセスの効率化と迅速化の促進を期待し、NRCにERとSARを分離して提出することを申請、2024年8月に承認されていた。
GLE社は、新たな国産ウラン供給源の確保・転換・濃縮の実現を目指しており、それに特化した米国の唯一企業となる。GLE社はライセンスの取得後、2030年までに米エネルギー省(DOE)が所有するケンタッキー州のパデューカ・ガス拡散濃縮プラントにあるDUF6の再濃縮を開始したい考えだ。パデューカ・サイトでは、1960年代からガス拡散濃縮プラントが民生用の濃縮ウランを生産していたが、2013年に操業を停止し、サイトは現在、環境復旧プログラム下にある。
GLE社はレーザー濃縮技術の商業化を目指し、豪サイレックス・システムズ社が51%、加カメコ社が49%所有する合弁企業。GLE社はサイレックス法(サイレックス社独自のレーザー分子法によるウラン濃縮技術)の独占行使権を保有しており、DOEと2016年11月、DOEが保有する約30万トンのDUF6の40年間の売買契約を締結した。PLEFで天然ウラン・グレードまで濃縮し、六フッ化ウラン(UF6)の形で、世界のウラン市場で販売する計画だ。
PLEFのライセンス申請は、GLE社が2012年に取得した、ノースカロライナ州ウィルミントンにおける商業規模のレーザー濃縮施設のNRCの建設・操業許可に基づいている。当時は市場環境が悪く、計画は進展しなかった。GLE社は2024年11月にパデューカ・ガス拡散工場跡地に隣接する665エーカー(約2.7㎢)の土地をPLEFの建設サイトとして取得しており、NRCの事前承認とPLEFサイトの良好な特性から、PLEFのライセンス取得は早まると予想している。
サイレックス社は、自社の濃縮技術により、天然ウラン(UF6形態)、低濃縮ウラン(LEU)およびLEU+、次世代炉(小型モジュール炉を含む)向けの高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)など、複数の形態のウラン生産が可能となり、世界中の原子炉向けの燃料生産で重要な役割を果たすと指摘している。