原子力産業新聞

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米NRC Natriumの建設許可の審査を加速

10 Jul 2025

桜井久子

Natrium® 完成予想図 © TerraPower

米原子力規制委員会(NRC)は72日、Natrium炉の建設許可申請の審査を予定より6か月前倒し、2025年末までに完了させる方針を明らかにしたNatrium炉は出力34.5kWeのナトリウム冷却高速炉で、米国の原子力開発ベンチャー企業であるテラパワー社が開発している。

同炉は、ワイオミング州ケンメラーの石炭火力発電所の近傍にケンメラー原子力発電所1号機として建設される。テラパワー社は、同社の子会社として同発電所の所有者・運転者となるUS SFR Owner(USO)に代わり、20243月に建設許可申請を行った。

NRCがNatrium炉の建設許可申請を審査するスケジュールを短縮したのは、これが2回目。NRC20252月、安全評価(SE)のドラフトが予定より1か月早く完成し、建設許可の審査が、当初予定の20268月よりも2か月早い同年6月に完了すると、テラパワー社に通知していた。その後、環境影響評価書(EIS)のドラフトを、予定より1か月早い20256月に発行。テラパワー社との緊密な情報交換の効果と20255月のNRC改革に関する大統領令も考慮して、最終安全評価と最終EIS6か月早く完了すると予測し、20251231日までに建設許可の審査が完了すると今回、通知した。

Natrium
炉は、熔融塩ベースのエネルギー貯蔵システムを備えており、貯蔵技術は、必要に応じてシステムの出力を50kWeに増強し、5時間半以上維持することができる。これにより、Natrium炉は再生可能エネルギーとシームレスに統合され、費用対効果の高い電力網の脱炭素化を実現すると言われている。なおテラパワー社は、Natrium炉の完成を2030年と見込んでいる。


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