米NRC 先進炉の迅速審査など最近の取組みと成果に関する声明を発表
24 Jul 2025
米原子力規制委員会(NRC)は7月14日、今年5月に発出された一連の大統領令および超党派のADVANCE法に沿って、イノベーションの受け入れ、認可プロセスの迅速化、規制枠組みの近代化に向けた、最近の取組みと成果について声明を発表した。
NRCは今回の声明の中で、引き続き国民の健康と安全を守ることを最優先としつつ、原子力の民間利用を効率的に規制し、社会に貢献する原子力発電の導入を支援していく姿勢を明示。すべてのステークホルダーと連携し、迅速かつ一体的に対応することで、世界の模範となる規制機関としての基準を維持していくとした。
声明で明らかにした最近の取組みと成果は、以下のとおり。
- 新型炉の審査に革新的なアプローチを採用: 新型炉の審査を予定より早く、かつ予算内で完了。進行中の新型炉やライセンス更新審査についても、大統領令で示された建設と運転の認可プロセスを18か月以内に短縮。既設炉の運転期間延長に関しては、最終決定を1年以内とする期限に合わせてスケジュールを更新。
例:
―ダウ社傘下のProject Long Mott社によるX-エナジー社製SMRの高温ガス炉(HTGR)「Xe-100」の建設許可発給には、18か月の審査期間を設定。
―テネシー峡谷開発公社(TVA)のクリンチリバー・サイトにおけるSMR「BWRX-300」の建設許可発給には、17か月の審査期間を設定。
―テラパワー社製ナトリウム冷却高速炉「Natrium」炉を採用するケンメラー発電所の建設許可の審査は、従来より6か月短縮を予定。
- 2025会計年度最終手数料規則の公表: ADVANCE法第201条に基づき、先進炉の申請者および事前申請者に対する審査の時間単価を引き下げ。
(1時間あたり318ドルから148ドルへと50%以上の削減) - マイクロ炉のプラント製造工場での燃料装荷に関する指針を提示: マイクロ炉の展開に向け、重要な政策課題を解消。
- バージル・C・サマー1号機(PWR、100.6万kWe)およびペリー1号機(BWR、131.6万kWe)の運転期間延長を認可、それぞれ80年運転、60年運転に: 予定より早く、予算内で運転期間の延長を承認。これまでに97基の原子炉の運転認可を更新し、さらに13基については2度目の運転期間延長を認可、合計で2,200年分の原子炉運転能力を維持。
- 設計認証の有効期間の延長: 従来15年の設計認証の有効期間を40年に延長するための直接最終規則を官報に公表。
- ACRS(原子炉安全諮問委員会)による審査の重点化: 審査対象を新規性や注目すべき課題に絞り込み。
なお本声明に先立ち、7月1日にはNRCの委員3名が連名で、NRCを主導するために協調して取り組むことを表明した共同声明を発表している。
また今年1月20日、トランプ大統領によりNRCの委員長に指名されたD. ライト氏は、6月30日に任期満了を迎えた。同氏はNRCの委員、委員長の再任候補として、6月25日の上院の環境公共事業委員会(EPW)で開催された公聴会に出席。宣誓証言の中で同氏は、再任が承認されれば、大統領令に従い、効率的なライセンス発行を優先し、米国を原子力エネルギーのグローバルリーダーとして再確立すべくNRCを率いる考えを示した。また、安全を最優先に先進炉や原子力技術の認可を妨げずに促進する方針を表明した。現在、同氏の再任は上院本会議による承認待ちとなっている。