米ペンシルベニア州での原子力プロジェクト詳細が明らかに
28 Jul 2025
米ペンシルベニア州ピッツバーグのカーネギーメロン大学(CMU)で7月15日、人工知能(AI)とエネルギー革命の推進に焦点をあてた、エネルギー・イノベーション(EI)サミットが開催された。サミットでは、ペンシルベニア州がAIイノベーションのハブとなり、州全体で高レベルの雇用機会を創出する可能性が示されるとともに、主な原子力プロジェクトの詳細が明らかにされた。
同サミットは、米上院議員D. マコーミック氏(ペンシルベニア州・共和党)の呼びかけにより開催され、D. トランプ米大統領やエネルギー省のC. ライト長官、内務省のD. バーガム長官などの政権の主要メンバーのほか、エネルギーとAI業界のトップリーダー、投資家など数十人が出席した。
うち、コンステレーション社のJ. ドミンゲスCEOは、ペンシルベニア州内で運転する原子力発電所3サイトでの計画について詳細を公表。リメリック発電所(BWR、119.4万kWe)を2040年代まで運転を継続し、追加出力34万kWeの増強に向けて、24億ドルを投資するとしたほか、「クレーン・クリーン・エナジー・センター」(旧:スリーマイル・アイランド原子力発電所)については1号機を1年前倒しの2027年に運転再開すると発表した。同機は2050年代まで運転を予定し、3,400人の新規雇用を創出、計36億ドルの連邦・州税収、160億ドルの州内経済効果が見込まれている。さらに、「ピーチボトム・クリーン・エナジー・センター」の運転認可を少なくとも2054年まで延長するよう原子力規制委員会に申請中であり、今後20年間で延べ3,000万時間の雇用創出と、数百億ドル規模の電力供給が可能になると言及。「これらの投資は、AIをはじめとする未来を担うデジタル産業に力を与えるもの」と強調した。
ウェスチングハウス社のD. サムナー臨時CEOは大統領令にしたがい、2030年までに米国で10基のAP1000の建設を開始する計画を策定・実行するための取組みを開始したと発表。計画が実施されれば全米で750億ドルの経済効果、5.5万人の新規雇用、ペンシルベニア州単独で60億ドル、1.5万人の新規雇用の創出が見込まれるという。また同社は、Google Cloud社との新たなパートナーシップにも言及。Google Cloud社のAIツールを活用して原子力発電所の建設効率と運用の向上を目指しているという。
トランプ大統領は、「大統領令によって、原子力建設は『非常に簡単かつ非常に安全』になった」と述べ、老朽化した電力網の更新、データセンターと発電所の併設の可能性、そして原子力・非原子力を問わずエネルギープロジェクトの許認可プロセスの加速と改革についても言及した。