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韓国古里4号機が運転停止 運転期間延長を審査

14 Aug 2025

桜井久子

古里発電所 3、4号機 Ⓒ KHNP

韓国水力・原子力(KHNP)は86日、古里原子力発電所4号機(PWR103.3kWe)を、40年の運転期間の満了に伴い、運転停止した。同機は、198587日に運転認可を受け、1986429日に営業運転を開始。国内で5番目に営業運転を開始した原子炉である。KHNPは同機を引き続き運転するために、韓国の原子力規制機関である原子力安全委員会(NSSC)の承認審査を受けている。

KHNPは20229月、NSSCに継続運転安全評価書を提出し、20237月、継続運転に関する放射線環境影響評価報告書に対する公聴会プロセスを完了。同年11月に継続運転の運転変更許可を申請した。政府は電力の需要や経済性などを考慮し、原子炉の設計寿命の終了後でも、法制度に基づき10年間追加で運転を継続する方針である。古里4号機の運転停止に先立ち、20234月に2号機、20249月には3号機がそれぞれ40年の運転認可期限を迎えて運転を停止しており、現在、継続運転のための審査手続き中である。2号機は早ければ今年後半、3号機と4号機は来年中にNSSCにより継続運転が承認される見込みだ。

KHNPによると、古里4号機は今回の運転期間満了までに2,059日連続(5サイクル)の無故障運転を達成。米国ニュークレオニクスウィーク誌が発表する「年間稼働率」で世界400基以上の原子力発電プラントのうち何度も1位に輝いている。同機は運転期間中、約2,773kWhを発電した。

古里発電所のイ・サンウク所長は、「継続運転は、安定したエネルギー供給とカーボンニュートラル実現のカギとなる戦略。市民の安全を最優先に、透明で公正な手続きを通じて継続運転を推進する。徹底した安全審査、安全設備の強化、最新装備の改良を通じて、古里4号機はより安全で効率的な発電所に生まれ変わるだろう」と語った。

脱原子力政策を進めた文在寅(ムン・ジェイン)前政権は設計寿命に達した原子炉の延長運転を原則的に認めなかった。古里4号機を含めて現在審査中の古里2、3号機も文在寅政権下で運転期間延長の申請が遅れたのが今回の発電中断の原因となっている。原子炉が中断なく稼働するには運転認可期限に達する3、4年前から延長運転のための手続きを始める必要があるが、文在寅政権下では手続きが行われなかった。古里2号機の場合、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領当選直後の20224月に継続運転の申請が行われたが、運転認可期限まで1年しかなかった。今年末にはハンビット1号機が40年の運転認可期限を迎え、停止する。今後、1980年代半ばにかけて運転を開始した原子炉が、2029年までに年1~2基停止していく。

1978年4月に営業運転を開始した韓国最古の古里1号機(PWR58.7kWe)は、設計寿命30年に追加10年の運転期間延長を経て、20176月に永久閉鎖された。KHNP20215月に同機の解体申請を提出、今年6月に承認された。8月からタービン建屋内の設備から順次解体作業に着手し、2031年に使用済み燃料を搬出後、放射性系設備の解体を経て2037年に解体を完了、サイトを復旧する計画である。

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