原子力産業新聞

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ルーマニアSNN- 仏EDF傘下企業2社と協定 運転期間延長とRI製造で協力

22 Oct 2025

佐藤敦子

SNNとフラマトム社との契約調印式
©Framatome

ルーマニア国営原子力発電会社のニュークリアエレクトリカ(SNN)は108日、仏電力大手フランス電力(EDF)グループ傘下の2社と、チェルナボーダ原子力発電所(CANDU670kW級×2基)の運転期間延長ならびに医療用ラジオアイソトープ(RI)製造にかかる協力協定を締結した。

SNNの発表によると、原子力発電所向けの蒸気タービン事業を手掛けるアラベル・ソリューションズ社とはチェルナボーダ1号機の改修・運転延長プロジェクトで協力し、燃料製造大手フラマトム社とは医療用RIの製造で協力する。

SNNは、同1号機(1996年運転開始)の運転期間を30年間延長する改修工事を計画しており、2027年に運転を停止。2029年の再稼働を目指して、現在は、設計や資金調達、インフラ整備などを進めている。

アラベル社はこれまでも12号機の保守や部品改修を手掛けており、長年の協力関係をさらに発展させる形で協力関係を結ぶ。改修作業は工学研究から製造、既存システムの解体、新設備の設置、長期的な保守作業まで多岐にわたる。1号機の改修が完了し運転再開すれば、年間約50kWhの発電が可能となり、年間約500万トンのCO₂排出削減に寄与する見通し。

一方、フラマトム社とは、同発電所での医療用RIの一つであるルテチウム177の製造の協力体制を構築する。ルテチウム177はがん治療に不可欠なRIで、欧州では年間約1,500万件の治療で使用されている。医療用RIの提供はSNNの長期戦略の一環。2024年にはフラマトム社と覚書(MOUを締結しており、今回の契約は2028年のサービス開始に向けた実施段階への移行を意味する。

なお、SNN2024年にもカナダ、イタリア、韓国の企業と1号機改修のための協力契約を締結するなど、国際協力を強化している。今回のフラマトム社との協力が実施段階に入ったことで、1号機の改修プロジェクトの進行とともに、エネルギー供給にとどまらない原子力利用の拡大の動きが本格化している。

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