原子力産業新聞

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米パリセード発電所 再稼働に向け燃料受け入れ

05 Nov 2025

佐藤敦子

燃料集合体の受け入れ ©Holtec International

米国で一度閉鎖された原子力発電所が、再稼働に向けて大きな節目を迎えた。
米ホルテック・インターナショナル社は1020日、ミシガン州のパリセード原子力発電所(PWR, 85.7kWe)に68体の燃料集合体を受け入れたと発表した。同発電所は20225月に経済性の悪化を理由に閉鎖され廃止段階に移行していたが、ホルテック社は米エネルギー省(DOE)の最大152,000万ドル(約2,300億円)の融資保証や州政府の支援を受けながら、運転再開に向けた整備作業を本格化している。再稼働が実現すれば、米国で閉鎖後に再び運転を開始する初の事例となる。

今回受け入れた燃料は米国製で、炉心装荷されるまでの間は使用済み燃料プール建屋内に保管される。設備の復旧作業も進んでおり、主要機器の検査や保守を1年以上にわたり実施。現在は主要タービン発電機の再組立てが進行中で、一次冷却ポンプモーターの2基目の設置が完了した。今夏初めには、蒸気発生器の伝熱管改修も完了している。運転再開の目標は2025年末だが、具体的な時期は未定としている。

パリセード発電所は1971年に営業運転を開始。20225月の永久閉鎖後、翌6月に当時の所有・運転者であったエンタジー社からホルテック社に売却された。当初は廃止措置を前提とした取得だったが、新たに電力販売契約が成立したことなどにより採算性の見通しが立ち、方針を転換した。米原子力規制委員会(NRC)が今年724日、技術審査を完了し運転再開に必要な主要許認可を承認した。これにより、燃料の受け入れが可能となっていた。

米国ではエネルギー需要の増加や気候変動対策への対応を背景に、かつて経済性を理由に閉鎖されたプラントを再稼働させる動きが見られる。パリセードのほか、2019年に閉鎖したスリーマイル・アイランド1号機(PWR, 89.0kW, 現クレーン・クリーン・エネルギー・センター)や2020年に閉鎖したデュアン・アーノルド1号機(BWR, 62.4kW)でも、運転再開に向けた検討が進められている。

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