原子力産業新聞

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ウレンコUSA LEU+を初生産

24 Dec 2025

桜井久子

© Urenco

ウレンコUSA社は1211日、ニューメキシコ州ユーニスにある同社濃縮プラントで、濃縮度8.5%U-235初生産した。米国の商用ウラン濃縮施設でこの濃縮度の生産は初めて。U-235510%に濃縮した低濃縮ウランプラス(LEU+)の生産能力を実証したもので、2026年半ばに顧客向けの商業生産を開始する予定だ。

ウレンコUSA社は20259月、ユーニス濃縮プラントのすべての遠心分離機でU-235濃縮度最大10%以下のウランを生産する認可を米原子力規制委員会(NRC)から取得した。これにより、米国で初めて商業用のLEU+を生産可能な施設となった。LEU+は、既存の軽水炉フリートにおいてより長い運転サイクルを可能にし、運転・保守コストの低減や、事故耐性燃料(ATF)などの新型燃料設計の展開を後押しするとされる。また、小型炉向けの先進燃料である高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)の原料としても活用可能で、将来的なHALEU生産への布石となる点も注目される。

同社は202410月、2027年までに生産能力を約15%増の約700tSWU/年の拡張プロジェクトを発表。その一環として、2025年中に新型遠心分離機3基を追加設置。このうち3基目となる遠心分離機が1216日にLEUの生産を開始した。各遠心分離機とも予定より早く稼働を開始。米国市場で拡大する需要に対応するとともに、ロシアからの濃縮ウラン輸入への依存を排除する米政府の取組みを支援する。ウレンコUSA社は、2010年に操業開始した米国唯一の商業規模の濃縮ウラン製造企業。米国の商用原子力発電所の濃縮需要の約1/3を供給している。

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