チョルノービリ原子力発電所 クリアランス金属の再利用へ
18 Nov 2025
ウクライナのチョルノービリ原子力発電所は10月31日、同国の国家原子力規制検査局(SNRIU)が、同発電所にある機材の解体中に生成された炭素鋼バッチのクリアランスを初承認したことを明らかにした。その重量は約20トンにのぼる。ウクライナ企業は、規制対象から除外される同発電所の「クリアランス金属」を再利用することができる。
クリアランスの検査作業の前に、廃材は断片化され、除染された後、定置型の高純度ゲルマニウムガンマ分光測定システムのFRM-03にて、ガンマ線分光モニタリングを用いて徹底的に検査され、再利用が可能なクリアランスレベルであることが確認された。
FRM-03は、2022年のロシア軍による発電所の占拠にもかかわらず損傷を受けることなく、発電所の廃止措置を支えるインフラの重要な一部として、2025年9月に運転を開始。欧州委員会の原子力安全協力プログラムからの資金手当てにより、チェコ企業が納品し、1日あたり最大10トンの廃材の検査処理能力を有する。
このクリアランスの適用開始は、放射性廃棄物の減容に役立つとともに、廃止措置活動向けの追加資金を生み出し、ウクライナの国家予算の負担の軽減に貢献するとされる。ウクライナの原子力発電会社であるエネルゴアトム社も、その傘下企業に同様の検査設備の導入を計画している。
チョルノービリ発電所は、今後、廃止措置中の3基(1~3号機)の解体から発生する廃材のクリアランス作業に事業を拡大し、ウクライナの放射線モニタリングシステムの信頼性と有効性を示していく方針である。





