米Xエナジー社 SMR燃料工場の建屋建設進展 照射試験も開始
26 Nov 2025
米国のX-energy社(以下:Xエナジー社)は11月17日、テネシー州オークリッジで建設中の先進炉「Xe-100」向けTRISO燃料製造施設「TX-1」において、建屋の地上部工事を開始したと発表した。今年8月には、同社子会社のTRISO-X社が米クラーク・コンストラクション・グループと4,820万ドル(約75億5000万円)で建屋建設契約を締結しており、今回の工事では約2万平方メートル規模の施設本体を建設する。操業開始および初号燃料の製造開始は2027年を予定している。
Xエナジー社が開発中のTRISO燃料「TRISO-X」は、ビリヤード球大の“ぺブル状”に成形され、中心のウラン燃料核を炭素とセラミックの複数層で被覆する構造を持つ。高温環境でも溶融せず、放射性物質の放出を抑制する高い健全性が特徴とされる。この燃料を使用するXe-100実証プロジェクトは、米エネルギー省(DOE)が先進炉展開の加速を目的に創設した先進的原子炉実証プログラム(ARDP)の支援対象であり、5~7年以内の実証運転を目指す二炉型の一つとして位置づけられている。DOEは総事業費の最大50%を負担する。
さらにXエナジー社は11月6日、米アイダホ国立研究所(INL)において、TRISO-X燃料の商業利用に向けた性能確認照射試験を開始した。DOEおよびINLの国立原子炉イノベーションセンター(NRIC)と連携して実施するもので、13か月間、出力・温度・燃焼度などの想定運転条件下で燃料の健全性を検証する。商業用SMR燃料が米国で本格的な照射試験を受けるのは初めてであり、その後は、INLおよび米オークリッジ国立研究所で照射後試験(PIE)が行われる予定である。
TX-1は完成後、米原子力規制委員会(NRC)による初のカテゴリーII(※)燃料製造施設として認可される見通しで、米国では50年以上ぶりの新規燃料施設となる。操業により地域で400人以上の雇用が生まれ、年間約70万個のTRISO燃料を製造する計画だ。これはXe-100換算で11基分の燃料供給能力に相当し、ダウ・ケミカル社と建設を進めるテキサス州シードリフトのロング・モット(Long Mott)発電所(Xe-100×4基)向けに供給される見通しである。
※カテゴリーIIは、一定量の核物質を扱う施設に適用される規制区分で、高い物理的防護と核不拡散対策が義務付けられている。





