米国 V. C. サマー増設プロジェクトのF/Sを実施へ
22 Dec 2025
米サウスカロライナ州営電力のサンティー・クーパー社は12月8日、建設が中断されているバージル・C・サマー原子力発電所2、3号機(ウェスチングハウス<WE>社製AP1000)の売却を視野に、完成に向けた6週間の初期実行可能性調査(F/S)を実施することで、カナダの資産運用会社であるブルックフィールド・アセット・マネジメント社と覚書(MOU)を締結したことを明らかにした。ブルックフィールド社は、WE社の大口株主。
電力需要の急増と州の支援を受けて、サンティー・クーパー社は今年1月、V. C. サマー発電所2基の買収と完成に関する提案募集を実施すると発表。10月には、ブルックフィールド社との独占交渉に関する意向表明書(LOI)を締結した。
サンティー・クーパー社は現時点で、両社が最終投資決定(FID)を下し、両機の完成が約束されれば、27億ドルの現金を受領するとともに、営業運転開始後に最大25%の所有権取得を目指し、それに比例した設備容量も確保するとしている。但し、最終的な所有比率は両機の完成に要する最終コストに応じて調整される可能性がある。
同社のJ. ステイトンCEOは「顧客が負担してきた負債を大幅に減らす現金支払いを含む強力な取引交渉を実施し、これら2基から追加の資本コストなしで将来的に電力供給を受けることができる」と述べた。建設時のコスト超過に起因する負債は顧客が負担しており、「今年1月に開始したこのプロセスにおいて、顧客の救済は2つの最重要目標のうちの1つ」と説明。さらに同氏は、もう1つの最重要目標としてサウスカロライナ州への貢献を挙げ、「200万kWe以上の信頼性の高い排出ゼロの電力を生み出すだけでなく、サウスカロライナ州は米国の原子力ルネサンスの最前線に立つことになる」と今回のMOU締結の意義を強調した。
MOUでは、ブルックフィールド社が初期のプロジェクト実行可能性を決定する期限を2026年6月26日と定めており、FIDまでに約18〜24か月を要すると見込まれている。ブルックフィールド社は同日までにサウスカロライナ州の企業や労働力の活用、教育機関との連携、労働力開発への投資、地域社会と利害関係者との関わりを考慮した経済開発計画の草案を作成する予定。サンティー・クーパー社は同社と協力し、F/S評価に必要な作業のほか、FID達成に必要な詳細な建設計画・分析を進めるとしている。
WE社は12月9日、V. C. サマー発電所でのAP1000×2基完成による経済的影響に関して、コンサルティングファームの英プライスウォーターハウスクーパース(PwC)による調査結果を発表した。
同調査によると、両機の7年間の建設段階でサウスカロライナ州に73億ドル以上の国内総生産(GDP)をもたらし、年間7,300もの高レベルな雇用を生み出すとしている。両機が稼働を開始すれば、年間16億ドルのGDPと、運転期間80年間で4世代にわたり2,700以上の雇用を支えると見込む。





