米国 ウラン転換能力拡大へ新規参入相次ぐ
20 Apr 2026
米テキサス州に拠点を置く新興企業のフラックスポイント・エナジー(FluxPoint Energy)社は3月26日、米国ヒューストンで開催された国際エネルギー会議「CERAWeek」において、テキサス州でウラン転換施設を建設する計画を明らかにした。同社は、国内の原子力インフラにおける重要な供給ギャップの一つを埋め、米国独自の垂直統合型の燃料供給能力を確立することで、エネルギー自立の支援と先進炉の配備を可能にし、国家安全保障の強化をめざしている。
同社のM. チルトン創設者兼CEOは、「外国製の燃料に依存している限り、米国は原子力分野で主導権を握ることはできない」と述べ、国内の燃料サプライチェーンにおいてウラン転換が原子力発電を拡大する上で、「容認できないボトルネック」となっていると指摘、国内の転換能力の早急な回復の必要性を訴えた。
2024年5月、米議会は「ロシア産濃縮ウラン輸入禁止法」を可決し、ロシア産の低濃縮ウランの輸入を禁止した。ロシア産濃縮ウランは、2023年時点で米国の濃縮ウラン需要の約24%を供給していた。この禁止措置は2028年に全面発効し、2040年まで有効とされる。
これを受け、六フッ化ウラン(UF6)の価格は3倍に跳ね上がり、米国の政策立案者、公益事業者、原子炉デベロッパーは、燃料の入手可能性が米国の原子力発電の制約要因となるとの危機感を共有しているという。2030年頃には国内の燃料生産能力に不足が生じるとの予測もある。とりわけ、米国の転換施設は、イリノイ州南部に商用施設のメトロポリス・ワークス(MTW)があるのみ。MTWを操業していたハネウェル社(当時)は2017年、安価なロシア産低濃縮ウランの輸入の影響や、世界的なUF₆の供給過剰を背景に同プラントの操業を停止したが、2023年7月に再開した。ハネウェル社は2025年末に先端材料事業をソルスティス・アドバンスト・マテリアルズ社として分社化し、MTWは現在ソルスティス社が操業している。ソルスティス社の2月の発表では、20億ドルの受注残高と米エネルギー省(DOE)の支援を背景に、MTWは2026年に10,000トンを超えるUF₆を生産する見込みであり、これは2024年の計画生産能力から約20%の増加となる。同社は大手エンジニアリング・調達・建設(EPC)企業を起用し、生産能力拡張に向けた初期エンジニアリング分析を実施しており、顧客と長期供給に関する協議も開始している。MTWで生産されるUF₆の独占的販売代理を務めるコンバーダイン(ConverDyn)社[1]
ソルスティス社とゼネラル・アトミックス社の折半出資の合弁会社
のH. ラマタラ・マーケティング・営業部長は、4月14~16日にモナコで開催されたWNFC2026[2]
NEIとWNAが共催する燃料サイクルをテーマとした国際会議
に出席。MTWの増産計画に加え、ソルティス社が新規プラント「メトロポリス2.0」の建設計画について市場状況を踏まえ評価中であると紹介している。
フラックスポイント社の転換プラントは、単一の大型ユニットではなく、市場の需要状況に応じて調整できるモジュール式であり、最初の生産ラインはUF₆換算で年間約2,500トンの生産能力。市況によりラインを1つずつ追加建設し、最大4ラインで年間計10,000トンの生産能力を想定している。サイトはすでに確保ずみで、技術的実現可能性および市場調査を完了し、基本設計(FEED)調査と米原子力規制委員会(NRC)との事前申請の協議を開始しており、2030~2031年の操業開始を目指しているという。
なお、フラックスポイント社だけが転換市場への新規参入者ではない。米国最大のウラン企業であるウラニウム・エナジー(UEC)社の完全子会社である米国ウラン製錬・転換会社(Uranium Refining & Conversion Corp: UR&C)は3月18日、NRCから、同社が計画中のウラン転換施設に案件番号が割り当てられた。UEC社は、許認可取得に向けた意向書(LOI)をNRCに提出しており、次のステップはNRCとの事前申請の協議となる。正式な許認可申請は、現在進行中の大手EPC契約企業のフルアー(Fluor)社によるエンジニアリングおよび設計が完了し、サイト選定後に提出する予定であり、複数の州で有力なサイトを特定しているという。計画中の施設は、UF₆換算で年間約10,000トンの生産能力を目標としており、米国の年間需要推定量18,000トンの内、相当な割合を占める。同社は、採掘から転換までを手掛ける米国唯一の垂直統合型燃料サプライヤーとなるべく、この取り組みを推進している。





