原子力産業新聞

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米国でマイクロ炉試験設備が稼働開始

23 Apr 2026

桜井久子

© US DOE

米アイダホ国立研究所(INL)内の国立原子炉イノベーション・センター(NRIC)は48日、マイクロ炉実験機の実証(Demonstration of Microreactor Experiments: DOME)テストベッドの稼働を開始した。これにより、民間企業が開発した先進炉の迅速な開発、試験、実証を可能にする施設として、燃料装荷済みのマイクロ炉の実験を実施する準備が整った。

DOMEは、先進原子力への需要拡大を背景に、産業界向けの実証用に開発された。こうしたニーズに対応できる専用の試験環境は、米エネルギー省(DOE)の国立研究所のみが提供可能とされている。さらに、2025年5月に発令された先進原子力の開発加速に関する大統領令を受け、テストベッドの建設は、当初計画より約1前倒しで進められた。

DOMEは、高さ約30m、直径約24m、高速増殖実験炉II(EBR-II)の格納容器構造を再利用して建設された。同施設で、実験用原子炉の概念試験や将来の商業用ライセンス申請に活用可能な性能データを収集する。原子炉デベロッパーの開発時間やコストの削減、プロジェクトリスクの低減につなげるのが目的。最大2kWtの熱出力をもつマイクロ炉の実験用に特別に設計され、初臨界時には安全性を重視した閉じ込め機能を持つなど、世界で唯一の試験施設だという。

マイクロ炉は、通常最大2kWtの熱出力を発生し、その熱の直接利用や発電が可能なコンパクトな原子炉。工場で製造され、搬送可能な設計となっており、緊急時の復旧電源や現在ディーゼル発電機に依存する遠隔地のコミュニティへの電力供給に適しているとされる。その小型さと信頼性の高い電力供給能力により、宇宙や海洋分野での利用のほか、軍事施設の支援や拡大するデータセンターの電力需要への対応としても検討されている。DOER. バーラン次官補代理(原子炉担当)は、「DOMEテストベッドは先進原子力技術における米国のリーダーシップを再確立するための、DOEの包括的戦略の礎となるだろう」と述べた。

DOMEテストベッドでは、ラディアント(Radiant Industries)社が開発する電気出力約0.12kWのヘリウム冷却マイクロ炉「カレイドス」(Kaleidos)による1年間の試験プログラムがまもなく開始される予定で、原子炉の初起動は夏頃を見込む。同炉は、2025年8月にDOEの先進炉の実用化に向けた「原子炉パイロットプログラム」の対象炉に選定されている。

DOMEでの実験は、毎年実施される競争的な申請プロセスを通じて計画され、技術の成熟度や燃料の入手可能性、規制当局の承認計画、さらには申請者が試験コストを自己資金で賄えるかなど、いくつかの基準に基づいて決定される。次回の申請受付は今春に開始予定。

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