米DOEが新イニシアチブ 「国家安全保障」として再処理も視野に
27 Apr 2026
米エネルギー省(DOE)原子力局は4月23日、国内の燃料サプライチェーンを確保するための新イニシアチブ「Nuclear Dominance – 3 by 33」(2033年までに原子力の主導権を確立するための3つの目標)を開始すると発表した。原子力発電の拡大に不可欠な燃料供給体制の強化と、対外依存の低減を柱とする。
原子力発電は現在、国内総発電電力量の約20%を占める。製造業の国内回帰や、人工知能を支えるデータセンターの需要などを背景に、安全で信頼性の高い電力需要は今後数年間で増加が予想されている。既存炉の出力増強、閉鎖済みの原子力発電所の運転再開、および先進炉の商用導入など電力供給量の増強をめざす取り組みが進められているが、すべて燃料の確保にかかっている。
2025年5月、トランプ大統領は原子力発電の復活を促進するため、4件の大統領令を発令。その数か月後、DOEは燃料供給量の増強、信頼性の高い電力へのアクセス拡大、濃縮ウランや重要物資の海外依存からの脱却に焦点を当て、国防生産法(DPA)に基づき、燃料サイクル・コンソーシアムの設立意向を示し、自主的合意による参加企業を募集していた。
DPAは1950年に制定された連邦法で、緊急時に政府が産業界を直接的に統制できる権限を与えるもの。DPAコンソーシアムの下では、採掘・精錬から転換、濃縮、再転換、燃料製造、リサイクル、再処理に至るまでの燃料サイクル全体を対象に、産業界による協議の場を設ける。サプライチェーン能力の強化に向けた行動計画の策定を通じて、既存炉に加え将来の先進炉の運転を支える体制の構築を目指す。参加企業は特定の基準を満たす場合、独占禁止法の適用除外が認められる。政府はDPAに基づく燃料サイクル・コンソーシアムを通じて、原子力産業基盤を支える90社以上を総動員し、サプライチェーン全体を統合的に再構築することをねらう。
同コンソーシアムは、「Nuclear Dominance – 3 by 33」キャンペーンの下、2033年までに以下の目標を達成することを目指している。
- 安全かつコスト競争力のある国内燃料サプライチェーンの構築促進
- 先進炉導入の加速と燃料サイクルの完結
- 原子力発電所の建設を支援するため、DPAの枠組みを活用した、人材、資金、イノベーション、協力の拡大と調整
DOEは、コンソーシアムの目標達成の迅速な進展を図るため、60日毎の短期間で進捗を確認していくという。
またDOEは、前日の22日、使用済み燃料のリサイクル能力向上を民間企業と共同で推進するため、パートナー募集を開始した。対象となるのは、燃料の再処理から再利用までを担う商業規模のプロジェクトで、民間企業に対し、DOEの承認プロセスを活用した設計・建設・運営を含む包括的な提案を求めている。今回の取り組みでは、政府が施設や制度面での支援を行う一方、資金調達や事業運営は民間側で主導する形を想定。あわせて、アイダホ州のアイダホ原子力技術・工学センター(INTEC)を活用した実証プロジェクトが計画されており、防衛関連の使用済み燃料を対象に、商業規模でのリサイクルの実現可能性を検証する。DOEは、使用済み燃料を「未開発のエネルギー資源」と位置づけ、廃棄物の削減と燃料供給の安定化を図る方針。今回のパートナーシップを通じて、燃料の循環利用を進め、国内の原子力産業基盤の強化につなげたい考えだ。





