カナダ 原子力戦略を発表
02 Jul 2026
カナダ政府は6月22日、電力需要の増加やエネルギー安全保障、2050年のカーボンニュートラル実現を見据え、同国初となる「原子力戦略」を発表した。本戦略では、原子力を安定した低排出電源として位置付け、2050年までに原子力関連の人材を倍増させ、数十億加ドル規模の民間投資を促進し、国内産業の競争力強化を目指している。
カナダでは現在、オンタリオ州とニューブランズウィック州のカナダ型加圧重水炉(CANDU炉)17基が同国電力の約13%を供給。原子力産業の経済貢献は年間220億加ドル(約2.5兆円)に上る。また同国は2024年時点で、世界第2位のウラン生産国で、世界生産量の約24%を占め、その約90%が他国に輸出されている。70年以上にわたり培ってきたCANDU炉技術やウラン資源、サプライチェーンや技術者、安全規制体制といった独自の強みを基盤に、新規建設や既設炉の活用、ウラン開発、医療用アイソトープや核融合を含む先端技術の研究開発を推進する計画だ。また、最新CANDU炉の設計開発や、小型モジュール炉(SMR)の先駆けとなるダーリントン新原子力プロジェクト(DNNP)への支援を通じて、原子力分野のリーダーシップを強化する方針である。
同戦略は、①国内での新規原子力発電所建設の推進、②世界市場における原子力技術・サービスの輸出拡大、③ウラン生産・燃料供給の強化と放射性廃棄物の長期管理、④核分裂・核融合を含む新たな原子力技術の開発を柱に構成される。今後は州政府、先住民、産業界、大学などと連携しながら実施し、エネルギーの安定供給と経済成長を両立させる原子力大国としての地位強化を目指している。
カナダ原子力協会(CNA)は同戦略の発表を受け、政府は原子力を単なる電源としてではなく、カナダの経済、エネルギー、地政学的未来を形作る戦略的国家資産とする歴史的な一歩を踏み出したと評価している。
世界市場へのカナダの原子力技術展開に関連して、同国のアトキンス・リアリス(AtkinsRéalis)社は6月24日、CANDU炉の米国市場展開に向けて、米原子力規制委員会(NRC)に許認可取得プロセス開始の意向通知書(Notice of Intent)を提出した。同社はCANDU炉技術の独占商業権を所有。米国におけるデータセンターやAI、先進製造業の拡大、電化の進展に伴う電力需要増加を背景に、実証済みの大型CANDU炉の導入を図る方針である。
同社によると、CANDU炉は世界で34基の建設実績と約1,000炉年の運転経験を有し、天然ウラン燃料を使用、運転停止せずに燃料交換が可能。医療用コバルト60などの放射性同位体の生産にも寄与する。同社は米国の電力会社や州政府、データセンター事業者などと導入可能性を協議し、既存の原子力サイトを中心に展開を検討している。海外からの濃縮ウラン供給に依存しない燃料仕様により、米国のエネルギー安全保障や燃料サプライチェーンの強化にも貢献したいとしている。





