セルビア 新規原子力発電導入のロードマップが明らかに
31 Jul 2026
セルビアのD. ハンダノヴィッチ鉱業・エネルギー相は7月13日、IAEAの支援を受けて開催された原子力計画実施国家機関(NEPIO)の役割と責任に関するワークショップの開会にあたり、2024年11月の原子力発電所建設モラトリアム撤廃後の、本格的な原子力導入に向けた工程を明らかにした。2035年までに同国初の原子力発電所の建設を開始し、2040年以降の運転開始をめざす。
同大臣は、セルビアが国際原子力機関(IAEA)の19項目からなる「原子力発電のための国家インフラ開発におけるマイルストーン」アプローチの基準に従い、段階的に原子力プログラムを推進中と紹介。工程では、2027年半ばまでに原子力発電開発の実施可否について判断を下すために必要なすべての情報を揃える、マイルストーン(フェーズ1)の完了を想定。併せて、基本的な法的・規制的枠組みの確立と、原子力プログラムの実施を担う専任機関(NEPIO)を設立し、2032年までに、制度面、規制面、技術面のすべてにおいて準備を整えた上で、炉型の選定を開始(フェーズ2)。2040年以降に同国初となる原子力発電所を導入すべく、2035年までに建設を開始する考えを示した。
なお、フランス電力(EDF)が実施した予備的技術調査の結果が2025年7月にセルビア側に提出されている。現在市場にある大型炉や小型モジュール炉(SMR)について、その技術・商業面での成熟度やサプライチェーンの信頼性、国家的ニーズとの整合性などを分析したという。また、最も懸念されていたセルビアの電力システムと原子力施設の統合に問題はないと評価され、2045年以降にはセルビアが電力の純輸出国となる可能性も指摘。なお、原子力プログラムのフェーズ1と2の完了に5~7年を要し、推計約3,000万ユーロ(55億円)が必要になると示されている。
鉱業・エネルギー省は、フェーズ1でさらに4件の調査の実施をEDFに依頼し、残りの14件の調査については、他国での原子力プログラムに参画・開発の実績があり、セルビアの原子力プログラムに関心を表明した様々な企業と協議して委託先を検討するとしている。こうした中、セルビア政府は7月29日、EDFとフランス開発庁(AFD)とパートナーシップ協定を締結。AFDは、セルビアの原子力プログラムへの初の支援として50万ユーロ(約9,200万円)の助成金を供与し、フェーズ1と2の実施に係わる原子力人材の育成(行政・規制当局・技術者の能力強化)、安全文化の醸成などを支援する。
セルビア政府は、電力需要の増加やエネルギー安全保障、脱炭素化への対応には原子力の活用が不可欠との認識を示しており、国内産業と地域経済の発展や原子力人材の育成に相乗効果を生み出したい考えだ。初となる原子力発電所の建設は、国家戦略「セルビア2035」のインフラ開発計画の中に位置づけられており、約30億ユーロ(5,500億円)が割り当てられている。





