IYNC2026 仏アヴィニョンで開催 原子力拡大を支える人材・知識継承を議論
09 Oct 2026
国際原子力青年会議「International Youth Nuclear Congress(IYNC)2026」が10月5日、フランス南部アヴィニョンで開幕した。49の国と地域から約450人が参加。大会テーマに「変革の連鎖(Chain of Change)」を掲げ、若手原子力関係者が技術、人材、政策など幅広いテーマについて議論した。IYNCは2年に1度、世界各国で開催される若手原子力関係者の国際会議。欧州での開催は12年ぶりとなる。
開会セッションでは、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシー事務局長がビデオメッセージを寄せ、IAEAの高予測ケースでは2060年までに世界の原子力発電設備容量が2025年末の規模から3倍を超える可能性があると指摘。SMRを含む先進炉や核融合の開発も進展しているとして、「原子力のモメンタムは否定できない」と強調した。また、原子力拡大を支える熟練人材の確保の重要性にも言及した。
基調講演では、フランス電力(EDF)のシルヴィ・リシャール プログラム・戦略部門長が、原子力をめぐる問いが「なぜ原子力が必要なのか」から、「どうすればより速く建設できるか」「必要な技能や産業能力をどう確保するか」へ変化していると指摘した。また、経験豊富な人材から若手への知識・技能の継承だけでなく、若手が持つデジタル技術への理解や新しい視点をベテラン世代が学ぶことも重要だとし、世代間の双方向の知識継承を訴えた。
続いて、ウレンコ社(Urenco)のアネリース・ナス=デッカー 戦略・事業開発部門 グループ戦略マネージャーは「原子力の長期的責任」をテーマに、原子力分野では現在の判断が数十年、100年先にも影響すると説明。参加者には「好奇心を持って」と呼びかけ、技術や異なる意見、人との交流を通じて学び続けることの重要性を強調した。
大会3日目のテクニカルセッションでは、日本原子力産業協会の藤原尊徳・人材育成部課長補佐が日本の原子力人材育成について発表。知識継承、次世代人材の確保、サプライチェーンの能力維持、国際対応力の強化を主要課題として挙げ、合同企業説明会である「原子力産業セミナー」や出前講座などの取組みに加え、産学官の連携基盤である原子力人材育成ネットワークを紹介した。さらに、連携から具体的な実行へ踏み出す新たな枠組みとして、10月7日に発足した「日本原子力人財コンソーシアム(J-AHRC)」を説明した。
質疑では、学生へのアウトリーチ方法に関心が寄せられた。藤原課長補佐からは、原子力産業セミナーを東京、大阪から福岡、仙台へと広げ、学生との接点拡大を図っていると説明。会場からは、原子力専攻者だけでなく、他分野の学生にも対象を広げてはどうかとの意見も寄せられた。
大会を通じ、世界的な原子力回帰をめぐる議論が「原子力が必要か」から「いかに実現するか」へと移るなか、人材確保や技能維持、知識継承の重要性が一層高まっていることがうかがえた。大会は8日に閉幕し、次回2028年は英国マンチェスターでの開催が決定している。





