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ロシア、最新設計のVVER-TOI含め4基の新規原子炉建設準備を開始

29 Jun 2020

VVER-TOIの断面図 ©ロスアトム社

ロシアの民生用原子力発電会社であるロスエネルゴアトム社は6月26日、第3世代+(プラス)のロシア型PWR(VVER)である「VVER-TOI」も含め、合計4基の新規原子炉について着工準備をレニングラードとスモレンスクの両原子力発電所で開始したと発表した。

計画ではまず、レニングラード原子力発電所Ⅱ期工事の3、4号機として、第3世代+のVVER「AES-2006」を2基(合計出力239.8万kW)増設するための準備作業を年末まで実施し、仮設の作業員宿舎も設置。その後2022年までに両炉の認可の妥当性や環境影響評価ついて公開ヒアリングを行い、建設プロジェクト全体の評価も実施する。同発電所ではすでに、同じ設計を採用したⅡ期工事1号機が2018年から稼働中のほか、2号機が2010年から建設中。これらは3、4号機の参照炉に位置付けられている。

また、スモレンスク原子力発電所ではⅡ期工事1、2号機として、I期工事のRBMKが3基(各100万kW)稼働する地点から6 km離れた場所に「VVER-TOI」を2基(合計出力251万kW)建設する。既存のRBMKはすべて今後10年以内に運転期間が満了するため、新しい2基はこれらのリプレースということになる。「VVER-TOI」は「AES-2006」設計をベースに技術面と経済面のパラメーターを最適化したもので、初号機となるクルスク原子力発電所Ⅱ期工事1、2号機の建設工事が、それぞれ2018年4月と2019年4月に始まっている。ロスエネルゴアトム社は今後、スモレンスク計画の投資プロジェクトについてアクション・プランの準備と承認取得を2020年末までに完了、同プランに沿って資金調達手続きを開始することになる。

今回の準備作業の開始決定は、ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社のA.リハチョフ総裁が関係文書に署名した上で指示したもの。同総裁によると「AES-2006」はすでに国内外で建設中であり、どちらの設計も近年の国際的な安全要件をすべて満たすなど、最新の研究開発成果に基づいて設計されている点を強調した。

また、これら4基の建設計画は2035年までの電力設備投資計画に組み込まれており、ロシア政府が承認済みである。ロスエネルゴアトム社はこれらの投資計画で技術コーディネーターを務めるとともに、事業会社の役割も担うことになる。

(参照資料:ロスエネルゴアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月26日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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