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WNA、技術政策方針書で原子力発電所の運転長期化に対する政府支援を要請

02 Jul 2020

©WNA

原子力産業を支援する世界規模の業界団体である「世界原子力協会(WNA)」は6月30日、原子力発電所で運転開始当初に設定された期間を超える「運転長期化(LTO)」を推奨する新しい技術政策方針書「原子力発電資産の価値を保持するために(The Enduring Value of Nuclear Energy Assets)」(=写真)を公表した。「原子力発電所がもたらす環境面、雇用面および経済面の恩恵を最大限に享受するには、より多くの政府が国内の原子力発電所にLTO支援方策を導入しなければならない」と訴えている。

この技術政策方針書はWNAのLTOタスクフォースが取りまとめたもので、A.リーシング事務局長は「既存の原子力発電所での運転長期化は喫緊の優先的政策課題であり、もしも各国政府が地球温暖化や新型コロナウイルス拡大下でのエネルギー供給システムのレジリエンス(回復力)問題に真剣に取り組むのなら、低炭素電源で信頼性も高い原子力発電所の閉鎖を許すべきではない」と断言。世界各国の政府に対しては、以下の項目を実行するよう求めている。

  • 原子力産業界で優秀な労働力を確保するため、基礎教育機関や高等教育機関、および関係の訓練プログラムに投資を行う。
  • 原子力サプライチェーンを万全に整備するため、産業戦略を策定する。
  • その他のクリーン・エネルギーと同様に、発電以外で原子力のもたらす価値が高く評価されるよう電力市場を改革する。
  • LTO導入プロセスへの国民参加が要件となっている国では、プロセスの透明化を図るとともに、ステークホルダーに対しては他の電源方式と比較しての安全性や環境面のリスク、社会経済的な恩恵等についても事実に基づいた情報を提供する。

WNAによれば、原子力発電所のLTOは多くのエネルギー市場で「耐用期間中の均等化発電コスト(LCOE)」が最も低い発電オプションと位置付けられており、このことは今後数十年間変わらない見通し。これまでに世界中の原子力発電所でLTOが実証され、今や世界の標準的慣習となりつつあり、一般的とされる運転期間は60~80年となっている。

またWNAの認識では、世界中の大多数の原子力発電所でLTOが技術的に可能である。近年閉鎖された原子力発電所の閉鎖理由はどれも政治的要因や市場構造の欠陥などによるもので、設計面の技術的制約が原因ではなかった。またこれ以外にも、WNAはLTOの利点として新規原子炉建設までの期間をカバーする橋渡しとして機能すること挙げた。LTOによって産業界の能力と競争力が温存されるだけでなく、高度な技能が要求される雇用を維持、地元コミュニティを支援することにもつながると強調している。

(参照資料:WNAの発表資料①、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月1日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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