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米国のボーグル増設計画で3号機の冷態機能試験が完了

27 Oct 2020

今年9月時点のボーグル3号機©Georgia Power

米国で約30年ぶりの新設計画として、ジョージア州でA.W.ボーグル原子力発電所3、4号機(各110万kWのウェスチングハウス社製「AP1000」)を建設中のジョージア・パワー社は10月19日、3号機の冷態機能試験を完了したと発表した。

これにより、同炉の建設工事は残っている温態機能試験の実施と燃料の初装荷に向けて大きく前進。建設進捗率が約94%となったほか、3、4号機全体の進捗率も約88%に到達した。規制当局から承認を受けた両炉の完成予定年月はそれぞれ2021年11月と2022年11月だが、ジョージア・パワー社は今年2月、完成スケジュールに余裕を持たせるための「挑戦的作業計画」を進めることにより、3号機は2021年5月に、4号機は2022年3月(※この後、同年5月に変更)に完成させることも可能だとした。

しかし、同社の親会社であるサザン社の発表によると、新型コロナウイルスによる感染の影響や一部作業の遅れによりジョージア・パワー社は10月22日、「承認を受けた完成予定年月までに両炉を完成させるため、挑戦的作業計画を建設サイトの現状に合わせた作業計画に変更する」と発表。改訂スケジュールでは、3号機の温態機能試験は2021年1月に開始する予定だが、遅い場合は3月末に開始する。同年4月に予定している燃料の初装荷も遅ければ同年の半ばにずれ込むとした。また、4号機については挑戦的作業計画を引き続き実行するものの、完成年月は現行予定から一か月調整して2022年6月になる見込みとしている。

3号機の冷態機能試験でジョージア・パワー社は一次冷却系と関連機器の設計性能を確認し、溶接部や接合部、配管、その他の機器に加えて、高圧システムでリークが発生しないことなどを検証した。原子炉冷却ポンプ(RCP)についても最初の一台を起動し、設計機能を確認している。

同社のP.バウワーズ会長・社長兼CEOは、「米国で約30年ぶりとなる新規原子炉の運転開始に向けて、3、4号機の作業は着々と進展中だ」と強調。冷態機能試験が完了したことで、同プロジェクトでは3号機に燃料を初装荷する準備が整ったほか、CO2を出さないクリーンエネルギーを顧客や地元州に、60年から80年間供給できる電源の完成にまた一歩近づいたとしている。

ボーグル3、4号機建設計画ではこのほか、両炉の運転を担当することになる運転員と上級運転員62名に対して原子力規制委員会(NRC)が運転員ライセンスを発行した。

(参照資料:ジョージア・パワー社サザン社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月20日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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