原子力産業新聞

海外NEWS

チェコ政府、使用済燃料の処分場建設で最終候補地を4地点に絞り込む

23 Dec 2020

最終処分場の概念図©SURAO

チェコの産業貿易省(MIT)は12月21日、原子力発電所から出る使用済燃料や高レベル放射性廃棄物(HLW)を安全かつ長期的に隔離する「深地層最終処分場(DGR)」の建設候補地が最終的に4地点まで絞り込まれ、同日中にチェコ政府が承認したと発表した。

放射性廃棄物処分庁(SURAO)の専門家パネルが過去数年間の研究・探査作業の結果、環境への影響が少なく技術的にも実行可能性が高い地点として、チェコ中心部のフラーデックとホルカ、南西部のブレゾビー・ポトック、およびテメリン原子力発電所に近いジュナークの4地点を政府に勧告していたもの。政府がこれを受け入れたことから、SURAOは今後もこれらの地点でさらなる研究・探査作業を継続する。政府は2030年を目処に建設サイトと予備サイトを1か所ずつ決定、2065年からの操業開始を目指すとしている。

チェコ政府はまた、同日に「放射性廃棄物最終処分場の手続法案」について概要を承認した。MITは来年にも、同法案を提案することになる。この法案は、DGR建設の準備作業に関する規則の制定と、選定プロセス全般を通じた協議の透明性や効率性の強化を目的としたもので、以前から候補地の代表者や議員等から法制化が要請されていた。

チェコでは1992年からSURAOがDGRサイトの選定作業を開始しており、第1段階として2002年までチェコ全土で「地質の評価作業」を実施した。第2段階で試験孔の掘削を除いた地質調査で「候補地の絞り込み」を行うのに対し、最終段階の第3段階では実際に試掘孔を掘削、「サイトの特性調査」を実施する計画である。

チェコ政府が2014年10月に行った発表によると、地質調査所が複数の地質条件に基づき1990年代初頭に提案した27地点のうち、7地点がこの時点で候補に残っており、初期段階の地質調査の実施を受け入れていた。DGRは総面積29.5ヘクタールの地上エリアと地下500メートルの処分エリアで構成され、地上には廃棄物を取り扱うサービス建屋や輸送用の鉄道から分岐線を建設。処分エリアでは換気シャフトやトンネル、廃棄物の封入容器を設置する処分室などが整備されることになっている。

同国のK.ハブリーチェク副首相兼MIT大臣は今回の発表について、「選定プロセス全体が非常にセンシティブなものであり、国民から多数の質問が寄せられることは十分承知している」と表明。「このため、MITとしては4つの候補地すべてと直接コンタクトを取っている。できる限り透明性を図ることで相互の信頼を確立したい」と述べた。

SURAOのJ.プラハス長官も「我が国は今や、(処分場建設計画が順調に進展する)スウェーデンやカナダ、スイスなどと肩を並べる段階に到達した」とコメント。今後もオープンで透明性のある対話を心がけるとした上で、関係自治体には特別作業グループの設置を提案すると表明。「同グループを通じて、DGR地上エリアの設置場所や最終形態、進行中の作業情報を定期的に伝達する方法等に関しても協議に参加してほしい」としている。

(参照資料:チェコ政府の発表資料(チェコ語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月22日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

cooperation