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ブルガリア原子力発電所へのWH社製原子燃料装荷に向け安全解析実施へ

10 Feb 2021

©Bulgarian Government

ブルガリア内閣は2月4日、米ウェスチングハウス(WH)社製の原子燃料をコズロドイ原子力発電所5号機(100万kWのロシア型PWR「VVER-1000」)に装荷するため、また、その認可手続の一環として同燃料で安全解析の実施準備を進めるための契約をWH社と同発電所が締結したと発表した。

ブルガリアは現在、欧州原子力共同体供給局(ESA)の「欧州エネルギー供給保証戦略」の下で原子燃料の調達先多様化プログラムを進めている。これにともない同国の原子力規制庁は、これまで使用していた燃料メーカーの製品と異なる原子燃料を新燃料として装荷する場合、詳細かつ包括的な安全解析の実施を必須要件としている。安全解析の結果が良好であれば、原子力規制庁は原子燃料の使用許可を発給、5号機では今回の契約に基づいてWH社製の原子燃料が装荷されることになる。

原子力分野におけるブルガリアと米国の協力は、2019年11月にブルガリアのB.ボリソフ首相と米国のD.トランプ大統領が会談した折、一層拡大していくことで合意。両国政府はその際、ブルガリアで唯一稼働するコズロドイ5、6号機で米国製の原子燃料が使用可能となるよう、認可手続の迅速な進展を支援するとしていた。

WH社は近年、東欧諸国からVVER用原子燃料の需要が増大しているのにともない、2016年にスウェーデンのバステラスにある原子燃料製造加工工場を拡張した。同社はこれまでに、ウクライナの商業炉6基に対してVVER-1000用原子燃料を供給しており、チェコではテメリン原子力発電所に同社製燃料を装荷するための認可手続が進展中。WH社によれば、同社が製造した最新のVVER-1000用原子燃料集合体であれば、燃料の経済性が一層向上し、安全性や品質の面でも極めて優れた性能が発揮されるとしている。

今回の契約では、コズロドイ発電所のN.ミーホフCEOとWH社のA.ダグ副社長が契約書に調印。調印式にはブルガリアのボリソフ首相とエネルギー省のT.ペトコワ大臣、駐ブルガリアの米国大使とスウェーデン大使が同席した(=写真)。ボリソフ首相によると、国家安全保障の確保でブルガリアが近年実行していることは戦略的地政学上重要なもの。原子燃料の調達先の多様化は、そのための必要不可欠な要素になると説明している。

(参照資料: ブルガリア内閣(ブルガリア語)コズロドイ原子力発電所WH社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月5日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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