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カナダNB州、SMRの州内導入に向けARC社に2,000万加ドル追加提供

15 Feb 2021

NB州のヒッグス首相
©Government of New Brunswick, Canada

米アドバンスド・リアクター・コンセプツ(ARCニュークリア)社のカナダ法人は2月10日、カナダのニューブランズウィック(NB)州で同社製・小型モジュール炉(SMR)の建設計画を進めるため、NB州政府がこれまでの支援に加えて新たに2,000万カナダドル(約16億5,900万円)を同社に提供することになったと発表した。

ARCニュークリア社は2018年7月、NB州の州営電力であるNBパワー社と協力することで合意。この合意に基づきARCニュークリア社は、NBパワー社が同州内で操業するポイントルプロー原子力発電所の敷地内で、ナトリウム冷却・プール型高速中性子炉のSMR「ARC-100」(電気出力10万kW)を建設する可能性を探っている。また、将来的には同SMRをカナダの他のサイトや世界中で建設する道を模索するほか、NB州を「ARC-100」技術に基づいた先進的SMR製品の中核的研究拠点や製造拠点とすることを目指している。

ARCニュークリア社は今年1月、社名を「ARCクリーン・エナジー社」に変更しており、そのカナダ法人「ARCクリーン・エナジー・カナダ(ARCカナダ)社」の発表によると、NB州からの今回の支援金交付は、ARCカナダ社がマッチングファンドを通じて民間から3,000万加ドル(約24億9,000万円)の投資金を確保することが条件である。この投資を通じて、ARCカナダ社は確証済みの技術を用いた固有の安全性を有するSMRを2020年代後半にも建設する計画で、NB州にはこうしたSMR開発イニシアチブを成功に導く重要な諸条件――熟練した運転事業者や融通の利く労働力、将来的にサプライチェーンを構築するための基盤、技術革新の支援に適した学術的研究体制、などがすべて整っていると指摘した。

NB州のB.ヒッグス首相も同日、「州政府の年次報告と将来展望」の中で、同州のSMR戦略は順調に進展中だと強調。ARCカナダ社との連携協力を続けていくと述べており、今回の支援金を通じて「ARC-100」の技術開発を次の段階に進める方針である。同首相の考えでは、ARCカナダ社に全面的に協力することでNB州の十分活用されていないサプライチェーンを再活性化し、再生可能エネルギーの間欠性を効率的に補えるクリーンエネルギーを州内で生産、これらは大規模なビジネスチャンスの創出につながると述べた。また、SMRの輸出によって、NB州では高賃金の雇用が創出されるなど利益が還元されるため、この開発イニシアチブには世界市場に道を拓く可能性があると強調した。

なお、「ARC-100」の許認可手続きについては、ベンダーの要請に基づいてカナダ原子力安全委員会(CNSC)が正式な申請に先立ち実施する「予備的設計評価(ベンダー設計審査)」の第一段階がすでに完了している。ARCカナダ社のN.ソーヤー社長兼CEOは、「民間の投資家にとって公的支援がいかに重要であるか、今回の事で明らかになった」と指摘。その上で、「NB州の支援を受けてベンダー審査の第二段階が正式に始まる」としている。

(参照資料:ARCカナダ社NB州政府の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月11日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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