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英サイズウェルC発電所の建設企業連合、地元との協力覚書で44億ポンドの投資を約束

25 Mar 2021

©Sizewell C Consortium

英国南東部のサフォーク州でサイズウェルC原子力発電所建設計画を支援している原子力サプライチェーン「サイズウェルC企業連合」は3月24日、地元選出の英国議会議員や企業グループ、企業組合、商工会議所、高等教育機関など、東部イングランド地域を代表するグループと協力覚書を締結したと発表した。

サイズウェルC発電所の建設計画では、サマセット州で建設中のヒンクリーポイントC発電所と同じく、160万~170万kWの欧州加圧水型炉(EPR)を2基建設することになっている。総工費の約70%に相当する約140億ポンド(約2兆円)が英国企業に支払われる予定で、同企業連合は今回この中から、9~12年程度と予想される同発電所の建設期間中、サフォーク州への投資額20億ポンド(約2,980億円)も含めて東部イングランド全体で44億ポンド(約6,560億円)を投資すると約束した。

この投資を皮切りに、同企業連合はサイズウェルC発電所の完成後も、投資等を含めた長期的なビジネスの機会を地元企業に提供していく。また、英国政府が法的拘束力のある目標として掲げている「2050年までにGHG排出量の実質ゼロ化」の達成や、そのための重要施策10項目を示した「緑の産業革命に向けた10ポイント計画」においても、この投資は重要な役割を果たすとしている。

「サイズウェルC企業連合」は、2020年7月に英国の原子力サプライチェーンに属する企業や労組など32社が結成したもので、現在の参加企業数は約200社に拡大。同建設計画の事業者である仏国籍のEDFエナジー社のほか、大手エンジニアリング企業のアトキンズ社やアラップ社、ヌビア社、原子力事業会社のキャベンディッシュ・ニュークリア社、建設大手のレイン・オルーク社、米国籍のGEスチーム・パワー社などが参加。大手労組のGMBやユナイト・ユニオンも加わっている。

同企業連合は今回の覚書締結に際し、会計・財務・顧問・サービス企業のアーンスト&ヤング(EY)社に委託して、サイズウェルC発電所が地元にもたらす経済効果などを調査した。EY社の報告書によると、同建設計画が実行に移された場合、東部イングランドではサフォーク州の3万5千人分も含めて、合計7万3千人分の雇用が地元サプライチェーンで創出される。また、地元政府の関連支出により、地元経済は一層拡大していくとしている。

英国政府は現在、サイズウェルC原子力発電所の建設についてEDFエナジー社と協議中だが、今の選出議員による議会会期中(2024年まで)に、少なくとも1件の原子力発電所建設計画で最終投資判断(FID)が下されることを目標にしている。「サイズウェルC企業連合」も、今回の覚書で投資や雇用機会の創出プランを設定したのに加えて、以下の事項を約束している。

・サイズウェルC建設計画の開発段階に応じて、東部イングランドの原子力サプライヤーに長期的なビジネスの機会を提供する。これには、カンブリア州ムーアサイドで将来的に原子力発電所を建設する可能性も含まれる。

・東部イングランドの原子力サプライヤーが国際的なビジネスの機会にも参入できるよう尽力する。

・短大など東部イングランドの高等教育機関と連携し、優秀な学生が原子力・建設産業界に採用されるようにする。

(参照資料:サイズウェルC企業連合E&Y社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月24日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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