原子力産業新聞

海外NEWS

中国の紅沿河5号機が初併入

28 Jun 2021

紅沿河原子力発電所©CNEA

中国核能行業協会(CNEA)は6月25日、遼寧省の紅沿河(ホンヤンフ)原子力発電所で建設されている5号機(PWR、111.9万kW)が同日の午前12時半頃、国内送電網に初めて接続されたと発表した。

中国では先月、江蘇省の田湾原子力発電所6号機(PWR、111.8万kW)が初併入したことから、紅沿河5号機はこれに続いて中国51基目の商業炉となる予定。同機の事業者で中国広核集団有限公司(CGN)傘下の遼寧紅沿河核電有限公司(LHNPC)は今後、同機が商業運転の開始条件をクリアできるよう、出力上昇試験等の様々な試験を実施する。初併入プロセスの中で同機の機器パラメーターは正常値を示しており、安定した状態で制御されている。このことから、同機は年内にも営業運転を開始すると見られている

同機と現在建設中の6号機の建設計画は、紅沿河原子力発電所のⅡ期工事に相当する。中国・東北地方の振興を支援する重大施策の一つであり、福島第一原子力発電所の事故後に初めて、国務院が2015年に承認した。これを受けて、LHNPCは5、6号機をそれぞれ2015年3月と7月に本格着工。LHNPCにはCGNと国家電力投資集団公司が45%ずつ、大連建設投資集団公司が残りの10%を出資している。

I期工事の1~4号機(各111.9万kWのPWR)が第2世代改良型の「CPR1000」設計を採用したのに対し、5、6号機では第3世代の技術特性を有するという「ACPR1000」を採用。これらはともに、仏国のPWR技術をベースにCGNが開発したもので、福島第一原子力発電所事故の教訓をフィードバックしている。具体的には、緊急時冷却システムなどに3つの受動的システムを取り入れたほか、11項目の技術改善を実施するなど、安全レベルはさらに向上したとCGNは説明している。

CNEAによると、今年は中国共産党の創立100周年であるとともに「第14次5か年規画」の最初の年度であることから、紅沿河発電所プロジェクトにおいてはⅡ期工事の原子炉の試運転にも注目されていることから、LHNPCはクオリティの高い試運転を実現する方針である。

(参照資料:中国核能行業協会(CNEA)(中国語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月25日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

cooperation