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トルコでアックユ4号機の建設準備が進展

18 Aug 2021

アックユ4号機の地盤掘削工事©ANPP

トルコ初の原子力発電所として、アックユ発電所(120万kWのロシア型PWR=VVER×4基)を地中海沿岸のメルシン地区で建設中のアックユ原子力発電会社(ANPP)は8月12日、4号機の本格着工に向けて基礎ピットの建設など準備工事が順調に進展中だと発表した。

ANPP社は、トルコからこの建設プロジェクトを請け負ったロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社のトルコ子会社。プロジェクト企業として、2020年5月に4号機の建設許可をトルコの原子力規制庁(NDK)に申請しており、今年6月末に部分的建設許可(LWP)を取得。現在はLWPの枠内で、原子炉建屋やタービン建屋、補助建屋、およびその他の主要施設の基礎部分となる655m2のエリアで掘削工事を行っている。同社は年内にも同機の建設許可をNDKから取得し、来年初頭から本格的な建設工事を開始する。

アックユ発電所では第3世代+(プラス)のVVERを4基設置することになっており、すでに1~3号機の本格的な建設工事が、それぞれ2018年4月と2019年4月、および2021年3月から始まった。これに4号機の作業が加われば、「アックユ発電所は世界の原子力産業界でも珍しい『4基の建設工事を同時に進める大規模な原子力建設センター』になる」とANPP社のS.ブツキーク第1副総裁は強調。年末までに、原子炉建屋やタービン建屋の基礎スラブ用に地面をならすコンクリートを敷き詰めた後、同スラブの補強を行う方針を明らかにした。

ANPP社の発表によると、現在進めている掘削工事では、最も深い部分で地下約12.5mまで掘り下げており、除去しなければならない土壌の量は約60万mにのぼる見通し。基礎ピットの建設では、岩だらけの土を掘り出してほぐす作業のほか排水処分なども含まれるため、掘削機や掘削リグなど20種類以上の建設機械を動員している。ピット建設ではまた、地盤の改良工事が必要になるため、ANPP社ではモルタルなどの硬化剤を高圧で土中に注入する工法を使い、パイルを支持する土壌の性能を強化。国際的な基準に従って、建屋や構造物の安全性と安定性を確保するとしている。

トルコでは現在、エネルギー源の多くを石油と天然ガスおよび石炭に依存しているため、ANPP社はトルコが建国100周年を迎える2023年にアックユ1号機の運転開始を予定。2025年までに4基すべてを完成させて、トルコの総発電量の約10%を賄いたいとした。同国のR.T.エルドアン大統領は1号機が本格着工した際、「CO2を排出しない原子力発電所は我が国のエネルギー供給保証に貢献するのみならず、クリーンで環境的にも安全なエネルギー供給によって地球温暖化防止にも大きな役割を果たす」と表明している。

(参照資料:ANPP社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月13日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

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