原子力産業新聞

SMRって何?

米国で進むSMR開発の最新状況

水冷却炉

従来の原子炉と同様に、冷却材に水を使用するタイプ。成熟した従来技術の応用であり、開発のハードルも低いと評される。

軽水炉型SMR(PWR)

ニュースケール・パワー・モジュール「VOYGR」

ニュースケール・パワーが開発する「NuScale Power Module (NPM)」は、1つの発電所に最大12基設置可能なPWRタイプのSMRで、運転システムや安全系には重力や自然循環などを活用、すべてのモジュールが地下プール内に収められる設計となっている。設置基数に応じて出力92.4万kWの「VOYGR-12」、46.2万kWの「VOYGR-6」、30.8万kWの「VOYGR-4」と定め、米国の原子力規制委員会(NRC)は2020年9月にモジュール1基の出力が5万kWのNPMに対し、SMRとしては初めて「標準設計承認(SDA)」を発給、2023年1月19日には設計認証(DC, Design Certification)を発給した。ニュースケールは出力7.7万kW版のモジュールについても、SDAを2023年1月1日に申請した。

VOYGR-6 ©NuScale Power, LLC

「NPM」の初号機については、西部6州の電気事業者48社で構成されるユタ州公営共同事業体(UAMPS)が1モジュールの出力が7.7万kWのNPMを6基備えた「VOYGR-6」をアイダホ国立研究所(INL)敷地内で建設する計画を進めており、最初のモジュールは2029年の運転開始をめざしている。その他、Xcelエナジーやデイリーランド電力共同組合が、VOYGR導入の可能性を検討・評価している。米国外では、カナダやチェコ、エストニア、ポーランド、ルーマニアなどの企業が国内でのVOYGR建設を検討しており、それぞれが実行可能性調査などの実施でニュースケールと了解覚書を締結。とりわけルーマニアでは、同国南部の石炭火力発電所跡地に出力7.7万kWのNPMを6基備えた「VOYGR-6」の2028年頃の完成をめざして、動きが活発化している。また、ニュースケールは2022年1月、英国で洋上風力発電などのクリーンエネルギー事業を展開するシアウォーター・エナジーと風力発電とSMRを組み合わせたハイブリッド・エネルギー・プロジェクトをウェールズで進めていくため、協力覚書を締結している。

さらに初号機建設に向けた主要機器の製造についても、ニュースケールは韓国の斗山エナビリティ(=Doosan Enerbility, 2022年3月に「斗山重工業」から社名変更)と2022年4月、主要機器の製造を本格的に開始する契約を締結、早ければ今年中にも原子炉圧力容器の鍛造材生産を始め、2023年後半から本格的な機器製造を開始する。なお日本の日揮やIHI、国際協力銀行もニュースケールにそれぞれ出資している。

VOYGRは、カナダ原子力安全委員会(CNSC)による許認可前ベンダー設計審査(Pre-licensing Vendor Design Review, VDR)のフェーズ2が進行中である。VDRはベンダーの要請に応じてCNSCが提供するオプションサービスで、ベンダーの原子炉技術に基づき、CNSCスタッフが設計プロセスの初期段階でフィードバックを提供する仕組。フェーズ1:規制要件全般への適応性評価、フェーズ2:ライセンス取得に基本的な障壁となり得るものに関する事前評価、フェーズ3:フェーズ2の評価結果のフォローアップ--の3フェーズに分かれる。

ニュースケール・パワー・モジュール VOYGR
ニュースケール・パワー・モジュール VOYGR の用途 その他情報

SMR-160

「SMR-160」は、ホルテック・インターナショナルの子会社であるSMR,LLCが開発中の次世代炉で、事故時にも外部からの電源や冷却材の供給なしで炉心冷却が可能な受動的安全系を備えている。ホルテックは、2020年12月に米国エネルギー省(DOE)の「先進的原子炉実証プログラム」(ARDP, Advanced Reactor Demonstration Program )による支援金の対象企業として選定された。ARDPで、SMR-160は「実用化時期:2030~34年」のカテゴリーに位置付けられており、資金援助額は7年間で1億1,600万ドル。ホルテックは、同SMRで2025年までにNRCから建設許可の取得をめざしており、NRCとの関係協議はすでに始まっている。

「SMR-160」の完成予想図 ©Holtec International

DC審査は未だ申請していないが、初号機の建設候補地としてはニュージャージー州の閉鎖済のオイスタークリーク原子力発電所の跡地を検討中。その他、ホルテックは2022年7月、エンタジーと同社のサービス区域内にある既存サイト1か所以上で、SMR-160を1基以上建設する実行可能性調査で協力覚書を締結した。米国外では、ウクライナでのSMR-160展開に向け、ウクライナの国営原子力発電企業エネルゴアトムらとコンソーシアム・パートナーシップ(国際企業連合)を2019年6月に正式に結成している。また2022年9月にはチェコ電力(ČEZ)とテメリン原子力発電所でのSMR-160の増設に係る評価継続で覚書を締結した。

SMR-160
SMR-160 の用途 その他情報

軽水炉型SMR(BWR)

BWRX-300

「BWRX-300」の完成予想図 🄫GEH

GEH(GE日立・ニュクリアエナジー)と日立GEニュークリア・エナジーが開発する「BWRX-300」は電気出力30万kWのBWR型SMR。GEHによると、2014年にNRCからDCを取得した第3世代+(プラス)のGEH製設計「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」の技術や機器を最大限に活用。CO2排出量の削減目標を達成する一助になるだけでなく、建設と運転に伴うコストも従来の大型原子炉と比べて大幅に削減可能であるという。

「BWRX-300」自体は今のところNRCのDC認証を受けていない。米国内では、テネシー峡谷開発公社(TVA)が2022年後半または2023年初頭にもテネシー州クリンチリバーサイトへの建設許可を申請し、2032年までに完成させる予定だ。カナダでは、州営電力であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)は2021年12月、早ければ2028年までに既存のダーリントン原子力発電所内で完成させるSMRとして「BWRX-300」を選択、2022年10月には建設許可をカナダ原子力安全委員会(CNSC)に申請している。同じくカナダのサスカチュワン州営電力も2022年6月、同州内で2030年代半ばまでにSMRを建設する場合は「BWRX-300」を採用すると表明、9月にはSMR導入候補地域2か所(サスカチュワン州のエステバンとエルボー)の選定を発表した。カナダ以外では、ポーランド最大の化学素材メーカーであるシントスが2021年12月、同社のグループ企業がポーランドの石油精製企業であるPKNオーレンと合弁企業を設立し、SMRの中でも特に、「BWRX-300」の建設に重点的に取り組む方針を発表した。

「BWRX-300」の概念図 ©GEH

BWRX-300
BWRX-300 の用途 その他情報

SMR
炉型別開発状況

開発予定サイトが既に発表されている
代表的なSMRをいくつか取り上げ、
その開発状況を炉型別に紹介する。

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