東芝 中東初の重粒子線治療装置を受注
15 Apr 2025
東芝エネルギーシステムズ(東芝 ESS)は4月15日、アラブ首長国連邦(UAE)のクリーブランドクリニックアブダビから、重粒子線治療装置を受注したと発表した。中東地域では初の重粒子線治療装置の導入になる。
今回同社が受注した装置は、回転ガントリー式の治療室と固定ポート式の治療室を1室ずつ備えている。先進的な高速スキャニング照射技術と超伝導電磁石を採用した小型の回転ガントリーが特徴。また、治療に用いるイオン源は炭素だが、マルチイオン源などの拡張性を考慮した仕様となっており、患者のがん病巣の位置、大きさ、形状に合わせたきめ細かい治療が可能になる。
クリーブランドクリニックアブダビは、アブダビ政府の投資会社であるムバダラ・ディベロプメント・カンパニーと米国のクリーブランドクリニックが共同で設立した病院で、2023年に中東最大のヘルスケア企業であるM42グループの傘下に入った。UAE政府は医療水準の高度化を推進しており、がん治療においては、患者の負担が少ない重粒子線治療が注目されている。
東芝ESSは、量子科学技術研究開発機構(QST)とともに重粒子線治療装置を開発し、2016年にはQST放射線医学研究所(千葉市)の新治療棟に、世界で初めて超伝導電磁石を採用することで小型化・軽量化に成功した重粒子線回転ガントリーを納入した。その後、山形大学向けにさらに小型化を進めた山形モデルの回転ガントリーが完成し、韓国の延世大学校医療院でも治療が開始されている。つい先日も、韓国のアサンメディカルセンターから重粒子線治療装置を受注したばかり。
東芝ESSは今後、重粒子線治療装置の普及を目指して、国内外での積極的な受注活動を展開し、質の高いがん治療の実現に貢献していくとしている。