カザフスタン チェコへウラン供給へ
28 Apr 2025
カザフスタンの国営原子力企業カザトムプロムは4月15日、チェコ電力(ČEZ)向けに初となる天然ウラン供給契約を締結した。チェコのエネルギー安全保障を強化し、クリーンで持続可能なエネルギーを供給するチェコの原子力発電所の役割を支援すると強調している。
本契約により今後7年間、カザトムプロムはČEZに自国産天然ウランを供給する。ČEZはチェコの電力需要の約36%を供給する原子炉6基(ドコバニ発電所:VVER-440×4基、テメリン発電所:VVER-1000×2基)を運転中である。
カザトムプロムのV. バイグジン最高商務責任者は、「今回の契約は、当社の欧州市場におけるプレゼンスの拡大と販売先の多様化という戦略を前進させる重要なマイルストーン。地域のエネルギー安全保障を支援しながら、脱炭素化と持続可能性という共通の目標を前進させる」と指摘。
ČEZのB. ズロネク取締役兼原子力部門長は、「カザトムプロムとのパートナーシップの確立は、サプライヤーの多様化の観点から、ČEZとチェコにとって戦略的に重要。安定かつ信頼できる燃料を原子力発電所が確保し続けることを意味し、チェコのエネルギー需要を満たし、2030年の脱炭素化ロードマップの達成に不可欠である」と付け加えた。
なお、カザトムプロムは2月中旬、スイスの電力会社であるAxpo社と天然ウランの供給契約を締結している。Axpo社が所有するベツナウ原子力発電所(PWR×2基)と部分所有するライプシュタット原子力発電所(BWR×1基)向けに供給するもの。Axpo社はロシアのウクライナ侵攻直後から、グループ全体でロシアのサプライヤーとの新規契約の締結を停止した。契約により供給されるウランは、フランス、ドイツ、オランダ、英国、米国で加工処理され、最初の納入は2026年に実施されるという。
このほど経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)と国際原子力機関(IAEA)より発表された「2024年版 ウラン:資源・生産・需要」(Uranium 2024: Resources, Production and Demand:通称 「レッドブック」)によると、カザフスタンは世界最大のウラン生産国であり、総生産量の43%シェアを占めている。