米TVA 6月までにSMR建設許可を申請へ
01 May 2025
米テネシー州のテネシー峡谷開発公社(TVA)は4月17日、テネシー州オークリッジ近郊の同社クリンチリバー・サイトにおける、小型モジュール炉(SMR)建設プロジェクトの建設許可申請(CPA)を6月までに行うことを明らかにした。
TVAのクリンチリバー・プロジェクト担当のB. ディーシー上級副社長によると、TVAはSMR建設に向けた環境レビューを完了し、6月までにCPAを行う意向を米原子力規制委員会(NRC)に通知。採用炉型は、GE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社製のBWRX-300(BWR、30万kWe)だが、他炉型の評価も継続しているという。
TVAはクリンチリバー・サイトについて2019年12月、米原子力規制委員会(NRC)より、SMR建設用地として事前サイト許可(ESP)を取得済み。またGEH社製のBWRX-300がSMRの中でも最も実現性が高いと判断。2022年8月にGEH社とクリンチリバー・サイトにBWRX-300を建設するための計画策定と予備的許認可で協力する契約を締結した。
BWRX-300は次世代BWR。2014年に米原子力規制委員会(NRC)から設計認証(DC)を取得したGEH社の第3世代+(プラス)炉「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」をベースにしている。
TVAはクリンチリバーSMRプロジェクトの開発に、2022年2月に理事会が承認した最初の2億ドルと、2024年4月の継続的な設計および開発作業を支援するための追加出資1.5億ドルを合わせ、合計3.5億ドル(約500億円)を投じている。
なおTVAは、米エネルギー省(DOE)が2024年10月に初公募、3月下旬に改訂された米エネルギー省(DOE)の第3世代+(プラス)小型モジュール炉プログラムから助成金8億ドル(約1,144億円)を4月初めに再申請した。これはDOEが同プログラムをトランプ政権の政策と一致させるべく、助成金交付の基準を更新。公募要件を変更し、再申請を求めていたもの。TVAは今年1月には、ベクテル社、BWXテクノロジーズ社、デューク・エナジー社、電力研究所(EPRI)、GEH社、アメリカン・エレクトリック・パワー社(AEP)傘下のインディアナ・ミシガン・パワー社、サージェント&ランディ社などから構成されるパートナー連合を結成し、同プログラムに8億ドルの助成金を申請していた。同プログラムは、米国内の原子力産業を強化し、米国初のSMR配備への支援、先進原子力技術のサプライチェーンの確立を目的に創設。TVAはBWRX-300が実績のある技術に基づくものとはいえ、初号機プラントであるため、DOEと協力してコストを相殺、顧客へのコスト負担を避けたい考えだ。また、予備的なサイト準備を早ければ2026年に開始を計画している。TVAのJ. ライアッシュCEOは今年1月、「この助成金が交付されれば、クリンチリバー・サイトでのSMRの建設が2年前倒しされ、早ければ2033年に営業運転が開始できる」と言及していた。
TVAは1933年、米大統領F. ルーズベルトが、世界恐慌の対策として実施したニューディール政策の一環として、テネシー川流域の総合開発と失業率対策を目的に行われた米政府による公共事業を実施する国有電力企業。現在、アラバマ州、テネシー州において3サイトで計7基の120万kW級の大型軽水炉を所有/運転している。