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米CFS社に日本企業12社が共同出資 核融合の商用化加速へ

04 Sep 2025

中西 康之助

建設中の実証炉SPARC ©Commonwealth Fusion Systems

核融合発電の商用化を目指す米国のスタートアップ企業「コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)社」は93日、日本企業12社(三井物産、三菱商事、関西電力、JERA、商船三井、日揮、日本政策投資銀行、NTT、フジクラ、三井住友銀行、三井住友信託銀行、三井不動産)で構成されたコンソーシアムから、総額86,300万ドル(約1,200億円)の資金調達したことを受け、東京都内で記者会見を行った。

記者会見にはコンソーシアムを構成する日本企業の幹部が登壇したほか、内閣府や文部科学省の関係者らも同席した。

同社は、米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)発のスタートアップ企業で、磁場閉じ込め方式(トカマク型)によるフュージョンエネルギー発電炉の設計・開発を進める業界のリーディングカンパニーだ。同社は、世界初となる商業用フュージョンエネルギー発電炉の「ARC(アーク)」発電所を米国バージニア州に建設する計画を発表しており、2030年代前半の運転開始を目指している。

また、今年6月には米Google社が、同社のARC発電所と電力購入契約(PPA)を締結し、同発電所の出力40kWeの半分の電力を調達することが話題となった。

2018年の設立以降、同社はすでに20億ドル(3,000億円)以上の資金を調達してきたが、この度のコンソーシアムからの投資や技術導入を活用し、開発を加速させていく方針だ。

出資した日本企業にとっても、核融合関連分野でのノウハウを蓄積し、日本におけるフュージョンエネルギー発電の早期実現を後押しする狙いがある。

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