原子力産業新聞

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米GLE レーザー濃縮の実証試験を完了

29 Sep 2025

桜井久子

PLEF完成予想図  © GLE

米グローバル・レーザー・エンリッチメント(GLE)社は916日、同社のノースカロライナ州にあるウィルミントンの試験ループ(Test Loop)施設において、大規模なウラン濃縮実証試験を完了し、レーザーを用いたウラン濃縮プロセスが商業的に展開可能であることを裏付ける豊富な性能データを収集したことを明らかにしたGLE社は、米国内における製造基盤や供給網を整備し、国内濃縮能力の確立を目指している。

同社のS. ロングCEOは、「過去5か月にわたる実証試験活動により、当社は米国のウラン濃縮戦略のソリューションとなる体制を整えた。米国の電力供給の約20%は原子力に依存しており、GLEの取組みは、外国政府が支配する脆弱な燃料供給網への危険な依存からの脱却に資するものだ」と語った。なお、GLE社は2025年を通じて実証プログラムを継続し、数百キログラム規模の低濃縮ウラン(LEU)を生産する予定。

GLE社はレーザー濃縮技術の商業化を目指し、豪サイレックス・システムズ社が51%、加カメコ社が49%所有する合弁企業。GLE社はサイレックス法(サイレックス社独自のレーザー分子法によるウラン濃縮技術)の独占行使権を保有している。GLE社はこれまでに、ノースカロライナ州とケンタッキー州で5.5億ドルを投じ、エンジニアリング、設計、製造、認可取得活動を進めてきた。現在、同社がケンタッキー州で計画しているパデューカ・レーザー濃縮施設(PLEF)は、米原子力規制委員会(NRC)が審査中の唯一の新規濃縮施設。GLEは今年7月にPLEFの建設と操業に向けた認可の申請を完了している。この認可申請は、GLE社が2012年9月に取得した、ノースカロライナ州ウィルミントンにおける商業規模のレーザー濃縮施設のNRCの建設・操業許可に基づいている。当時は市場環境が悪く、計画は進展しなかった。GLE社は2024年11月に米エネルギー省(DOE)が所有する、ケンタッキー州のパデューカ・ガス拡散工場(PGDP)跡地に隣接する665エーカー(約2.7㎢)の土地をPLEFの建設サイトとして取得しており、PLEFサイトの良好な特性から、認可取得は早まると予想されている。

認可取得後、GLE社は2030年までにPGDPにある劣化六フッ化ウラン(DUF6)の再濃縮を開始する。これは、2012年11月のDOEとのDUF6の長期購入契約に基づいている。パデューカ・サイトでは、1960年代からガス拡散濃縮プラントが民生用の濃縮ウランを生産していたが、2013年に操業を停止し、サイトは現在、環境復旧プログラム下にある。PLEFで20万トン以上のDUF6を再濃縮し、最大6,000tSWU/年の生産能力となる見通し。これにより、GLE社は、ウランの転換から濃縮までを一拠点で担う、米国内の包括的な供給体制を構築したい考えだ。

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