スウェーデン政府 新規建設プロジェクト支援の財政枠組みを提案
30 Sep 2025
スウェーデン政府は9月19日、2026年予算案で、新規原子力発電プラントの建設を支援するための財政枠組みを提案した。提案内容によれば、政府は最大2,200億スウェーデンクローナ(約3.5兆円)を投じ、12年間にわたって支援を行う方針だ。今後、議会の承認が必要である。
この長期的な支援枠組みは、最大約500万kWeの新規原子力発電所への投資支援が対象。政府は、新規プラントが運転を開始してから最大40年間にわたって、年間平均10億~30億スウェーデンクローナ(158億~473億円)の価格保証も提供する予定だ。支援を受ける企業と政府の契約は2026年と2027年に予定されているが、2026年にはその約半分にあたる規模の申請が見込まれている。契約条件はプロジェクトごとに個別に交渉されるが、本支援スキームは欧州委員会(EC)の承認が必要であるため、個々の契約が調整される可能性があり、国のコストは最終的な建設価格と将来の電力価格の動向に左右される。
政府の気候政策の基礎は、主に電化による化石燃料を使用しないエネルギーへの移行であり、安定的かつ競争力のある電力供給が不可欠だとして、原子力の拡充が重要な役割を果たすと認識されている。政府は今後、多くのサイトで効率的に許認可を進めるため、大・小規模の事業者双方に対応し、既存技術と新技術の双方を扱える許認可プロセスを2026年までに整備する方針。そのため2026年予算案では、放射線安全局、環境保護庁、県行政庁、国債管理庁、裁判所への予算として合計1.61億クローナ(約25億円)の追加措置が計上されている。さらに、環境許認可プロセスを簡素かつ効率的にしつつ、高水準の環境保護の維持を目的として、2027年7月1日に新たな環境審査庁の設立を予定し、2026年予算案に計上済み。但し、一度にすべての規制変更を導入すると逆に遅延を招く恐れがあるため、段階的に新機関の役割を導入するとし、当初は県行政庁から一部の責任が移管され、将来的には土地・環境裁判所の一部業務も新機関に移す計画である。
議会は今年5月、国内の新規原子力発電プラントの建設を検討する企業への国家補助、新規プラントの運転時に市場リスクを軽減するため、運転事業者と政府による双方向の差金決済取引(CfD)制度の導入を含む国家支援の枠組みを確立する法律を可決した。支援対象は、大型炉4基分に相当する、最大500万kWeの発電設備容量を持つプロジェクトで、2025年8月1日に施行され、新規建設プロジェクトへの支援申請が可能になっている。