原子力産業新聞

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オクロ社マイクロ炉「オーロラ」主要設備調達へ シーメンスと設計契約

05 Dec 2025

佐藤敦子

オクロ社CEO A.レナー氏(左)と
シーメンス社 蒸気タービン・発電機担当上級副社長T.パンセ氏(右)©Oklo

米国の先進炉と燃料リサイクルの開発企業、オクロ社は1119日、独シーメンス・エナジー社とマイクロ炉「オーロラ」向け電力変換システムの設計契約を締結した。両社は20248月に優先サプライヤー契約を結んでおり、協業は実行段階へと移行した。

今回の契約では、シーメンス社が蒸気タービンや発電機を中心に、関連機器の詳細設計と設備配置の策定を担う。主要機器の製造開始が可能となり、初号機建設の具体化へ前進した。オクロ社は、産業分野で実績のある既製機器を活用する設計方針が、建設コストや開発期間の圧縮につながると説明。シーメンス社も、高効率で信頼性の高い発電設備の提供を通じ、次世代炉の事業化を支援する姿勢を示した。

オーロラは金属燃料を用いるナトリウム冷却高速炉で、出力は1.5万〜5kWeの範囲で調整可能。HALEU[1]U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン燃料により20年以上の連続運転を想定し、高い熱効率を生かした分散型電源としての利用も見込む。同社は米アイダホ国立研究所(INL)敷地内に建設する初号機を商業展開に向けた実証炉と位置づけ、開発を進めている。

さらにオクロ社は1111日、INL内で計画するオーロラ燃料製造施設(A3F)について、米エネルギー省(DOE)アイダホ事業局から原子力安全設計契約(NSDA)の承認を得たと発表DOEの先進燃料製造ライン整備を後押しするパイロットプログラムで最初の承認例で、審査は提出からわずか2週間で承認された。A3Fでは使用済み燃料を再処理して得た金属燃料をオーロラ向けに製造する。初号機の商業運転に向け、燃料供給と発電所建設の整備が並行して進んでいる。

 

脚注

脚注
1 U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン

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