米NRC Natriumの安全評価を完了
08 Dec 2025
米原子力規制委員会(NRC)は12月1日、米先進炉開発ベンチャーのテラパワー社が開発するナトリウム冷却高速炉「Natrium」炉を設置する「ケンメラー発電所」1号機の建設に関する最終安全評価を予定より1か月早く完了したと発表した。評価では、建設許可の発給を妨げるような安全上の問題は確認されなかった。
NRCの原子炉安全諮問委員会(ACRS)は、ケンメラー発電所1号機の安全関連の側面から審査し、11月16日に審査結果を提出。NRCは今後、委員会による建設許可判断に向けて、最終安全評価書(FSER)および最終環境影響評価書(FEIS)を取りまとめ、委員に提出する。委員会はこれらが建設許可の要件を満たすかどうか判断した上で、許可発給の票決に入る。
テラパワー社は2024年3月、「Natrium」炉を、ワイオミング州ケンメラーの石炭火力発電所の近傍にケンメラー原子力発電所1号機として建設するため、同社の子会社として同発電所の所有者・運転者となるUS SFR Owner(USO)に代わり、建設許可申請を行った。NRCは5月に正式な審査を開始。今年6月には本体工事に先行して非原子力部分を施工できる例外措置を認めた。現在、基礎工事など非原子力部分の建設が進行中。さらに10月には、ケンメラー1号機について、NRCの環境影響評価が完了したと発表。NRCは7月、テラパワー社との緊密な情報交換の効果と電力需要増に対応する先進炉の受入れ、認可プロセスの迅速化を目的とする5月のNRC改革に関する大統領令も考慮して、Natrium炉の建設許可申請の審査を予定より6か月前倒し、今年12月末までに完了させる方針を示していた。
Natriumは、出力34.5万kWeのナトリウム冷却高速炉で、熔融塩を用いたエネルギー貯蔵システムを備える。貯蔵機能を活用することで、出力を50万kWeまで引き上げ、5時間半以上維持できる点が特徴で、再生可能エネルギーとの統合を容易にする。テラパワー社はNatrium炉の送電開始を2030年と見込んでいる。





