スウェーデン 新規建設の資金調達を初申請
24 Dec 2025
スウェーデンの新規原子力発電プロジェクト会社「ビデバーグ・クラフト(Videberg Kraft)」は12月23日、ヴェーロー半島における小型モジュール炉(SMR)建設プロジェクトに係る資金調達とリスク分担に関する申請書をスウェーデン政府に提出した。これは、同国で今年施行された新制度に基づく初の申請となる。
ビデバーグ・クラフト社は、スウェーデン国営電力会社バッテンフォールが、国家補助申請のために今年4月に設立したプロジェクト会社で、ヴェーロー半島での新規炉の開発・所有を目的とする。スウェーデン議会(リクスダーゲン)は今年5月、国内の新規原子力発電プラントの建設を検討する企業への国家補助に関する政府法案「新規原子力発電プラント建設の資金調達とリスク分担に関する法案」を採択した。本制度は、低利な政府融資の利用により、資金調達コストの削減、ひいては原子力発電自体のコスト削減を目的としている。新法は今年8月1日に施行されており、ビデバーグ・クラフト社による今回の申請が制度運用の第一号案件となる。
なおバッテンフォールは11月に、同国の産業コンソーシアムであるインダストリクラフト(Industrikraft)と、自社が運転するリングハルス原子力発電所での新規原子力発電プラント増設に向け、共同投資および協力を行うことで合意。インダストリクラフトを構成する国内主要企業17社のうち9社が、ビデバーグ・クラフト社の株式20%を保有する契約をバッテンフォールと締結している。
バッテンフォールは、リングハルス3-4号機(PWR、各110万kWe級)に隣接して建設を計画しているSMRについて、供給候補4社から米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社と英ロールス・ロイスSMR社の2社に最終候補を絞りこんでいる。ビデバーグ・クラフト社はGVH社製であれば5基、ロールス・ロイスSMR社製であれば3基の、合計出力約150万kWeを建設予定である。現在、両社について集中的な評価を実施中であり、最終的なサプライヤーの決定は2026年に予定しているという。
プロジェクトに適用される条件に関する交渉は、スウェーデン政府が申請を受理後に開始される。政府とビデバーグ・クラフト社間で合意に達した場合、政府は欧州委員会に国家補助の承認を申請することとなる。





