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米スタートアップ企業 核融合開発にNVIDIAのデジタルツイン活用へ

14 Jan 2026

佐藤敦子

核融合実証装置「SPARC」の完成予想図 ©CFS

核融合発電の商用化を目指す米国のスタートアップ企業、コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)社は1月6日、独シーメンス社および米NVIDIA社と協同し、核融合研究の開発プロセスを大幅に加速するため、人工知能(AI)を活用した「デジタルツイン」を開発すると発表した。 

デジタルツインは、現実世界から収集した多様なデータを基に、対象となる装置やシステムをデジタル空間上に再現する技術。今回の取組みでは、CFS社が開発を進める核融合実証装置「SPARC(Smallest Possible ARC)」の設計データや運用データを、シーメンス社の産業用ソフトウェアで構成される「エクセラレーター(Xcelerator)」ポートフォリオと統合し、一元的に管理・連携させる。さらに、NVIDIA社が開発した3次元アプリケーションやサービス構築向けのプラットフォーム「オムニバース(Omniverse)」と組み合わせることで、SPARCの高精度なデジタルツインを構築できるとしている。 

構築されるデジタルツインでは、SPARCにおける磁場やプラズマ挙動、機器配置などの設計条件や運転条件を仮想空間上で再現し、その影響を検証できる。仮想空間上でのシミュレーションを高速かつ大規模に実施できるため、実機試験に先立って設計や運転条件を絞り込むことが可能となる。CFS社のB. マンガードCEOは、「デジタルツインを活用することで、何年もかかる手作業中心の実験を、数週間単位へと圧縮できる」と述べ、統合デジタルエンジニアリングへの期待を示した。 

CFS社は、マサチューセッツ工科大学(MIT)発のスタートアップ企業。現在、磁場閉じ込め方式(トカマク型)によるフュージョンエネルギー発電炉の設計・開発中。2030年代前半の運転開始を目指し、商業用フュージョンエネルギー発電炉「ARC(アーク)」発電所をバージニア州に建設する計画を掲げている。同社は2018年の設立以来、これまでに約30億ドル(約4,200億円)の資金を調達している。2025年9月には、三井物産や三菱商事などでつくる日本企業12社で構成されたコンソーシアムから、総額8億6,300万ドル(約1,200億円)の出資を受けた 

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