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米テネシー州 遠心分離機製造の中心地に

09 Feb 2026

桜井久子

© Centrus Energy Corp./ X

米ウラン濃縮事業者のセントラス・エナジー社(旧・米国濃縮公社:USEC)は123日、テネシー州アンダーソン郡のオークリッジにある技術製造センターを拡張し、遠心分離機製造の大規模展開を促進すると発表した。同社は今後数年間で5.6億ドル以上を投じ、アンダーソン郡に約430人の新規雇用を創出、数千台の先進的な遠心分離機の製造を支える計画だ。

遠心分離機製造は202512月に開始されており、最初に生産される新型遠心分離機は、2029年にオハイオ州パイクトンにある米国遠心分離プラント(ACP)で稼働開始予定である。

セントラス社は20259月、ACPの大規模拡張計画を発表。同計画には、連邦政府からの資金提供を含めて数十億ドル規模の官民投資が必要であり、米エネルギー省(DOE)から今年1月、9億ドルの助成を獲得した。同社はウラン濃縮拡張計画を活用し、国内外の電力会社顧客からの23億ドルの条件付き購入契約に対応する計画であり、将来的には高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)の商業規模生産も目標としている。

ACPは、国産の遠心分離機と関連機器を用いて稼働する唯一の国内施設。セントラス社の遠心分離機は、テネシー州オークリッジにある約4万㎡の技術製造センターで一貫して製造されている。製造には、全米13州に広がる14社の主要サプライヤーに加え、数十社の中小企業が関与している。製造された遠心分離機と関連機器は最終組立て、設置のためにパイクトンに送られる。

セントラス社は、テネシー州が2023年に創設した「原子力基金」を活用する8社目の企業となる。同基金は、リー知事の提案を受けて設けられ、累計規模は7,000万ドルに達している。

なお、テネシー州では、国防用途でも遠心分離機製造開発を進めている。BWXテクノロジーズ(BWXT)社は126日、テネシー州オークリッジに遠心分離機製造開発施設(CMDF)を開設した。20256月下旬の起工式からわずか7か月で稼働を開始した。

2025年9月、BWXT社はDOEの国家核安全保障局(NNSA)と15億ドル規模の契約を締結。防衛需要向けの濃縮ウランの安全かつ確実な供給を確保するNNSA戦略を支援するプログラムの一環で、BWXT社は、米国の国家安全保障上の優先事項である完全な国内ウラン濃縮能力の再構築に取組む方針である。

BWXT社が長年担ってきた国防・エネルギー支援の役割を基盤とし、CMDFは先進的な遠心分離機の設計、エンジニアリング、製造、試験の中心拠点として機能する。同施設は精密製造スペース、社内品質保証・試験能力、将来の遠心分離機生産を支える専門インフラを備え、遠心分離機技術の開発から製造準備段階への移行を加速する方針である。製造された遠心分離機は、テネシー州アーウィンにあるBWXT社傘下の原子燃料サービス社のサイトで建設中の国内向けウラン濃縮遠心分離機実験(DUECE)パイロットプラントで使用される。同パイロットプラントは、NNSAの防衛任務向けLEU生産の実証に使用された後、海軍推進用途向けの高濃縮ウラン生産に転用される。

現在、約100名の高度な技能を持つ専門家がCMDFおよびプロジェクト活動を支援しており、製造活動の拡大に伴い人員を増強する計画だ。

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