米国史上初 マイクロ炉を空輸
05 Mar 2026
米戦争省(国防総省)とエネルギー省(DOE)は2月15日、Valar Atomics社の試験用マイクロ炉Ward 250(燃料未装荷)を米空軍のC-17グローブマスターIII機に搭載し、カリフォルニア州のマーチ空軍予備役基地から、ユタ州のヒル空軍基地に輸送した。「Operation Windlord」と名付けられた同プロジェクトは、原子炉の空輸として米国史上初となる。
Ward 250は、ヘリウム冷却、TRISO(3重被覆層・燃料粒子)燃料利用の出力0.5万kWのマイクロ炉。試験と評価のため、ユタ州にあるサン・ラファエル・エネルギー研究所(USREL)へ運搬される。戦争省は、「Ward 250のようなマイクロ炉は、軍事基地のエネルギー安全保障を確保し、民間の電力網への依存を低減する。さらに、海外での軍事作戦においても、敵による燃料供給の途絶を懸念することなく米軍の活動を可能にする」と指摘。また、米国全体のエネルギー安全保障の向上にも資するとし、2025年5月に発出された一連の大統領令「原子力産業基盤の再活性化」、「エネルギー省における原子炉試験の改革」、「原子力規制委員会の改革」、「国家安全保障のための先進原子炉技術の配備」に沿った取組みであると強調している。
調達・維持を担当するM. ダフィー戦争省次官は、大統領の原子力イニシアチブの推進には、エネルギー省と戦争省のパートナーシップが不可欠と述べ、「このパートナーシップにより、エネルギーレジリエンスと国家安全保障の強化、先進的な原子力技術の開発、評価、配備が可能になる」と評価。また、AIデータセンターや指向性エネルギー兵器、宇宙およびサイバーインフラなど、次世代の戦争に必要な能力に言及し、敵よりも速く動き、驚異的な速さで勝利させるシステムの構築には、軍独自のエネルギーインフラが必要、との認識を示した。そのうえで、「今日は、そのシステムの構築に向けた記念すべき一歩。産業基盤とそのイノベーション能力を支援し、必要とされる場所への回復力のある電力供給を加速する」と語った。
DOEのC. ライト長官は、米国は今回のようなマイクロ炉の活用により原子力ルネサンスを目指しているとし、「米国の原子力ルネサンスは、民間資本と米国のイノベーションと決意をもって、迅速かつ慎重にボールを再び動かすことだ」と強調。今年7月4日までに3基の試験炉の臨界達成、順調に稼働することへの期待を示した。
Valar Atomics社は2025年8月、DOEが支援する先進炉の実用化に向けた「原子炉パイロットプログラム」に参加する10社の1社に選定された。翌9月には、同プログラムを支援する燃料製造ライン構築のパイロットプログラムに参加する4社のうちの1社にも選ばれている。また同月、USRELサイトにおいて、Ward 250の起工式を開催した。





