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米ケイロス・パワー 実証炉「ヘルメス2」の起工式を開催

24 Apr 2026

桜井久子

© Kairos Power

米原子力新興企業のケイロス・パワー社は417日、テネシー州オークリッジにある米エネルギー省(DOE)の「東部テネシー技術パーク(ETTP)」で、フッ化物塩冷却高温実証炉「ヘルメス2」の起工式を開催した。

ヘルメス2は、Google社との電力購入契約(PPA)の下で展開される初プロジェクト。最大5kWeの電力をテネシー峡谷開発公社(TVA)の電力網に供給し、テネシー州およびアラバマ州にあるGoogle社のデータセンターへの電力の安定供給を支える。米原子力規制委員会(NRC)から2024年11月、ヘルメス2の建設許可を取得している。

ヘルメス2は、20255月に同サイトで着工したフッ化物塩冷却高温実証炉「ヘルメス」(非発電炉、熱出力3.5kW)から得られる知見を活用。ヘルメスは、NRC半世紀ぶりに建設を許可した非水冷却炉で、TRISO(3重被覆層・燃料粒子)燃料やFlibe熔融フッ化物塩冷却材[1]

Flibe(フリベ)と呼ばれる化学的に安定したフッ化リチウム塩とフッ化ベリリウム塩の混合物である熔融フッ化物塩冷却材

など、オークリッジ発の原子力技術を採用し、設計の簡素化、コスト低減、そして高い固有安全性を特徴とする。ケイロス社は、これらのヘルメス・シリーズで得られる運転データやノウハウを活用して、技術、許認可、サプライチェーン、および建設のリスクを軽減、コストを正確に算定し、商業規模の「KP-FHR」(熱出力32kW、電気出力14kW)の完成を目指している。

ケイロス社は、ニューメキシコ州アルバカーキの製造開発拠点でヘルメス2の機器モジュールを製造し、オークリッジへ輸送して組み立てる計画。また、ヘルメス2の土木構造には、プレキャストコンクリート[2]建設現場でコンクリートを流し込む(=現場打ちコンクリート)のではなく、工場であらかじめ製造されたコンクリート部材や免震基礎を取り入れたモジュール建設手法を採用。これにより建設期間の短縮、コスト削減、標準化設計の実現が期待されている。ヘルメス、ヘルメス2の両プロジェクトの建設工事は、Barnard Construction Companyが担当する。

建設サイトは、かつて、オークリッジ・ガス拡散濃縮プラントK-33があり、DOEによる大規模な環境浄化の後、地域の経済開発用地として再利用されている。ケイロス社は2021年、隣接するガス拡散濃縮プラントK-31のサイトとともに取得している。

脚注

脚注
1

Flibe(フリベ)と呼ばれる化学的に安定したフッ化リチウム塩とフッ化ベリリウム塩の混合物である熔融フッ化物塩冷却材

2 建設現場でコンクリートを流し込む(=現場打ちコンクリート)のではなく、工場であらかじめ製造されたコンクリート部材

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