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米DOEが先進原子力研究に5,200万ドルを助成

12 Mar 2026

桜井久子

ノースカロナイナ州立大学の研究炉 PULSTAR
© US DOE

米エネルギー省(DOE)原子力局は33日、米国の先進原子力技術の研究開発を強化するため、全米の46プロジェクトを対象に、総額5,280万ドルを助成することを明らかにした。先進原子力技術開発や若手研究者の研究活動を支援し、米国の原子力ルネサンスを加速させたい考えだ。

DOEは今回の助成が、20255月に発出された大統領令「原子力産業基盤の再活性化」を推進し、研究インフラへのアクセス拡大と原子力人材の育成を後押しするものと位置づけている。

原子力戦略分野担当のM. スコット次官補代理代行は、「これらプロジェクトへの支援は、米国の原子力技術、大学、将来人材への重要な投資。研究者や教育者が革新的な原子力研究を進め、科学的なブレイクスルーを実現できるよう、DOEは必要なリソースと資金の提供に取り組んでいる」と語った。

今回の助成は、全米19州にある大学・国立研究所・企業を対象に、初期段階にある研究活動を以下2分野に焦点を置いて実施するもの。

  1. 原子力研究開発(R&D: 43プロジェクトに対し、原子力研究開発と研究施設へのアクセスを支援。
  2. 卓越した若手研究者育成プログラム: 原子力分野における新たな研究領域を開拓し、ミッションクリティカルな研究を推進する革新的研究・教育プログラムを開発する、優秀な若手大学教員3名を支援。

今回の助成資金は、以下のプログラムから拠出される。

  • Nuclear Energy University Program (NEUP)
  • Integrated Research Projects
  • Nuclear Science User Facilities (NSUF)

なお、DOE原子力局は昨年12月、原子力教育を強化するため、K-12世代(幼稚園から高校まで)や職業訓練学校、カレッジの学生を対象に、大学の研究炉へのアクセスを拡大し、原子力科学、工学、技術の認知度を高め、原子力分野への関心を促進することを目的に、3大学に59万ドル以上を助成することを明らかにしている

T. ガリッシュ原子力エネルギー担当次官補は、「本助成は、学生が原子力科学と工学を学び、将来的に原子力エネルギー分野でのキャリアを追求するために必要な訓練を受けるための入り口を提供するもの」と指摘。DOEによる原子力人材パイプラインを拡大する数多くの方策の一つであるとした。

大学の原子炉共有・普及プログラムへの助成により、既存の研究炉を持つ大学が他の教育機関とリソースや施設を共有することを奨励する。DOEは以下の3大学の活動に対し、それぞれ最大20万ドルを助成する。

  • ウィスコンシン大学マディソン校のミッドウエスト原子炉共有コンソーシアム: セミナー、短期コース、ワークショップを通じて原子力科学、工学、技術の認知度を高めるために、原子炉リソースを共有。
  • ペンシルベニア州立大学の放射線科学・工学センターの原子炉共有アウトリーチプログラム: 教員ワークショップや実験を支援する助成を通じて既存の教育・アウトリーチプログラムを拡大。
  • ノースカロライナ州立大学のPULSTAR原子炉アウトリーチ&シェアリング(K-12機関対象): 原子力に関心のある高校生向けの短期コースを開発し、労働力育成を促進。

DOEは2009年以降、原子力分野における研究の推進と次世代の原子力分野のリーダー育成のために、学生や教員に累計10億ドル以上の資金を供与。今後も各種助成を通じて、大学やカレッジが原子力エネルギー研究開発施設へのアクセスを増やすための方法を模索し続けていくとしている。

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