原子力産業新聞

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原産協会 公立中でボードゲーム活用授業

24 Mar 2026

深澤伊弦

日本原子力産業協会はこのほど、愛知県知立市立 知立南中学校でエネルギーミックスをテーマとした同協会制作のボードゲーム、「エレクトロネーション」を活用した特別授業を実施した。公立中学校エネルギー教育において、主体的な学びを引き出す新たな試みとして注目される。

今回の授業は、同中学校で技術科を担当する矢田真士教諭が、「エネルギーや電力の問題を生徒にとって自分ごととして考えさせたい」との思いから、同協会に相談したことをきっかけに実現した。矢田教諭と同協会はエネルギー単元全体の授業の進め方の工夫やオリジナルのパズル教材の開発など準備に約1年を費やした。生徒は事前に教科書に基づく基礎学習とパズル教材を通じ、エネルギーに関する理解を段階的に深め、「エレクトロネーション」に臨んだ。

当日は中学2年生約30人が参加し、21組のチームに分かれてゲームに取り組んだ。「エレクトロネーション」では、電力供給の確保と温室効果ガス(GHG)排出制約の両立を図りながら、発電設備の建設や資源調達、技術投資などを選択していく。資源価格の変動や自然環境が与える制約などの要素も組み込まれており、複雑な意思決定を体験できる設計となっている。

ゲーム序盤はルール理解に戸惑う様子も見られたが、進行とともに生徒同士で活発な議論が生まれた。「再生可能エネルギーは発電が不安定だがGHG排出がない」「石炭はコスト面で有利」といった意見が交わされ、発電方式ごとの特性を踏まえた選択が行われていた。原子力についても、初期投資の大きさに慎重な姿勢を見せる一方、ゲーム終盤GHG排出制約が強まる中で原子力の優位性を実感する場面もあり、エネルギーミックスの考え方への理解を深めていた。加えて、ゲーム内で登場する放射性廃棄物処分場の重要性も感じたようだった。

授業後のアンケートでは、85%の生徒が「とても楽しかった」と回答し、「楽しかった」を含めると全員が肯定的に評価した。また、電力や エネルギーへの関心についても、約9割の生徒が「興味が高まった」と回答。「発電方法の長所と短所を考えて組み合わせることが大切だと分かった」「CO₂排出を抑える難しさを実感した」などの声が寄せられた。

今回の取り組みはボードゲームを活用した体験型学習により、生徒の主体的な思考を促すエネルギー教育の一例を示すものとなった。単なる知識の習得にとどまらず、複数の選択肢の中で最適解を考える力を育む手法として、今後の展開が期待される。

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