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米X-エナジー タレン・エナジーと合計100万kWe級のSMR導入を検討へ

25 Mar 2026

桜井久子

© @xenergynuclear/ X

先進炉および燃料技術開発に取組む、米X-エナジー社は319日、米電力会社タレン・エナジー社と、ペンシルベニア州を中心に系統運営機関PJM管内で、合計100kWe級の小型モジュール炉(SMR)「Xe-100」導入を評価する基本合意書(LOI)を締結した。両社は、4基構成のXe-100発電所を3か所以上で導入し、電力の信頼性を支え、製造業の米国内回帰、データセンター、および電化に伴う増大するエネルギー需要を満たす機会を模索する。

Xe-100X-エナジー社が開発中の高温ガス冷却炉で、出力は8kWe。本LOIに基づき、両者は実現可能性調査、立地評価、およびプロジェクト実行枠組みを含む初期段階のプロジェクト開発を実施する計画だ。具体的な立地条件は未確定だが、両社は既存のインフラ、送電網、および労働力を活用し、Xe-100の導入により、化石燃料利用の発電から原子力発電への移行を実現したい考えだ。

Xe-100は電力供給に加え、565℃の熱および蒸気を安定供給可能で、同州の産業や石油・ガス分野で幅広く応用できる。また、Xe-100では空冷システムの効率的利用により水使用量が大幅に削減できる見込みで、従来の軽水炉と比較して立地選定の柔軟性を高めるという。燃料には、米エネルギー省(DOE)が高い耐久性を有する燃料と位置付けるTRISO(3重被覆層・燃料粒子)燃料を使用。運転時や事故時を含むあらゆる状況での極端な高温にも耐えられるよう設計されており、次世代型の固有安全性を確保する。Xe-100は4基から12基のパッケージプラントとしての展開を想定しているが、各原子炉はそれぞれ独立して運転開始が可能。エンドユーザーは1基ずつ段階的に容量を導入でき、新規発電を需要の伸びに合わせ、電力供給を実際の負荷拡大に適合させることができる。タレン社は今回の提携について、重要な送電インフラと地域経済を維持しつつ、ベースロード容量を強化し、PJM市場において増大するエネルギー需要を満たすための重要な一歩になると評価している。

X-エナジー社は現在、米国および英国における商業パートナーシップを通じて、1,100kWe超の新規原子力発電プラントを開発中。電力会社、産業顧客、ハイパースケーラー(大規模データセンター事業者)向けにXe-100を系統連系と同規模のエネルギーソリューションとして推進しており、米国の大手化学メーカーであるダウ(Dow)社、大手テック企業のAmazon社や英国のエネルギー供給会社のセントリカ(Centrica)社とすでに導入や投資、電力購入をめぐって合意している。

燃料部門では、X-エナジー社の傘下にあるTRISO-X社がテネシー州オークリッジにおいて、自社が開発するTRISO-X燃料の製造施設TX-1の建設プロジェクトを進めている。米原子力規制委員会(NRC)は213日、10 CFR Part 70 に基づき、TRISO-X社の2つの商業施設(「TX-1」および「TX-2」)をカテゴリー[1]カテゴリーIIは、一定量の核物質を扱う施設に適用される規制区分で、厳格な物理的防護と核不拡散対策が求められている。の燃料製造施設として初認可した。米国では約50年ぶりの新規燃料製造施設となる。これにより、TRISO-X社は同2施設において、高アッセイ低濃縮ウラン(HALEU)を使用したTRISO-X燃料の製造を当初40年間のライセンスの下で行うことが可能となる。

TX-1の建設は、X-エナジー社が参加する、DOEが先進炉展開の加速を目的に創設した先進的原子炉実証プログラム(ARDP)の一環であり、燃料製造開始を2028年初めに見込む。TX-2は現在設計段階にあり、X-エナジー社製SMR1,100kWe超の新規導入や他のSMR開発企業を支えるために、TRISO燃料の生産能力を大幅に拡大する。TX-1およびTX-2での本格的な生産により、米国史上初めて安定した商業用TRISO燃料供給源を確立し、米国および同盟国の原子燃料サイクルにおける大きな需給ギャップを埋め、エネルギーおよび国家安全保障を支えたい考えだ。

脚注

脚注
1 カテゴリーIIは、一定量の核物質を扱う施設に適用される規制区分で、厳格な物理的防護と核不拡散対策が求められている。

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