原子力産業新聞

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原子力事業者12社 原子力災害時の医療体制強化へ

31 Mar 2026

中西康之助

北九州市に位置する産業医科大学©学校法人産業医科大学

原子力事業者12社(北海道電力・東北電力・東京電力ホールディングス・中部電力・北陸電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・日本原子力発電・電源開発・日本原燃)は330日、原子力災害時におけるオンサイトでの医療体制のさらなる強化を目的として、産業医科大学(北九州市)と「原子力災害オンサイト医療における産業保健支援対策に関する基本協定書」を締結した。緊急時の作業従事者の初期医療対応やメンタルケアなどの健康管理における支援を強化する。

今回の協定締結の目的は、オンサイトでの迅速な医療支援体制の確保だけでなく、同大学を中心とした支援チームによる産業保健面(健康管理等)でのサポート体制の構築にある。

同大学は、日本で唯一、産業医学に特化した「産業衛生学(大学院医学研究科)」を学ぶことができることで知られる。この産業衛生学専攻の専門領域に、「放射線衛生管理学」や「災害産業保健学」があり、同大学は、これらの領域における豊富な知見を有している。これまでも同大学では、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業に従事する作業員の低線量被ばく影響について、実データに基づく分析・研究を進め、同研究における中核的役割を担ってきた背景がある。そのため、原子力事業者12社は、同大学からの支援について、これまで協議を重ねてきた。

同協定では、原子力災害が発生した際、事業者の要請に基づき産業医科大学が支援チームを現地に派遣し、迅速な初期医療対応を行うほか、メンタルケアなどの健康管理面も支援するという。原子力災害時には、過酷な作業環境下での労働衛生管理・産業保健の重要性が高まるため、緊急時の医療体制の実効性を高めるべく、双方が平時からの備えを進めることが狙いだ。

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