ロシア VVERで事故耐性MOX燃料集合体の試験運転を開始
28 Apr 2026
ロシア国営原子力企業「ロスアトム」は4月7日、サラトフ州にあるバラコボ原子力発電所1号機(PWR=VVER-1000, 100万kWe)に、事故耐性型MOX燃料を含む燃料集合体3体を装荷したことを明らかにした。今回初めて、大型商用炉において、クローズド・サイクル技術と事故耐性燃料(ATF)を組み合わせた独自のソリューションを実装。これにより、天然ウランの消費量を20%以上削減できる可能性があるという。
各燃料集合体には、従来のジルコニウム合金被覆にクロム被覆を施した燃料棒が312本含まれており、そのうち18本はMOX燃料を使用している。ロスアトムはこの燃料と構造材料の組み合わせを、高速炉だけでなく、従来の軽水炉もクローズド・サイクルに組み込む上で、戦略的に重視している。MOX燃料は、劣化ウランと使用済み燃料由来のプルトニウムから製造。ATF向けに開発されたクロム被覆燃料棒は、過酷事故での安全性と耐性を高めるだけでなく、完全に自動化された「無人」燃料製造を可能にし、現場作業員の放射線被ばくを最小限に抑制する効果があるという。
なお、ロスアトムがVVER向けに開発した最初のウラン・プルトニウム混合燃料にREMIX(REgenerated MIXture=再生混合物)燃料がある。REMIX燃料は、使用済み燃料の再処理過程で生じるウランとプルトニウムの混合物を分離せずに回収し、濃縮ウランを添加して製造。プルトニウム含有量は低い(最大1.5%)。その中性子スペクトルは標準の濃縮ウラン燃料と変わらず、炉心における燃料挙動が似ていることから、原子炉の設計変更や追加の安全対策なしに導入可能である。バラコボ発電所1号機に装荷されたREMIX燃料集合体3体が、18か月サイクル×3回のパイロット運転を2026年3月に成功裏に終了。ウリヤノフスク州のディミトロフグラードにある原子炉科学研究所(NIIAR)で照射後試験が計画されている。
一方のMOX燃料はREMIXよりも数倍多くのプルトニウム(最大5%)を含む上に、劣化ウランを使用。保有する劣化ウランの在庫を活用することにもつながる。ロスアトムの試算では、VVER燃料集合体が25%のMOX燃料棒と残り75%の標準濃縮ウラン燃料棒(回収ウランを含む)で構成される場合、プルトニウム含有量はフルREMIX燃料の集合体と同等となり、VVER-1200のライフサイクル全体において、天然ウランの消費量を20%以上削減すると予測されている。
なお、バラコボ1号機炉心へのMOX燃料装荷にあたり、NIIARの研究炉とカルーガ州オブニンスクにある物理エネルギー研究所(FEI)のBFS-1臨界試験装置においてMOX燃料棒の試験を実施。バラコボ発電所におけるMOX燃料の試験運転は、ロシア連邦環境・技術・原子力監督庁(ロステフナゾル)との厳格な連携のもと、同庁が発行した認可に従って実施されている。
ロスアトム燃料部門であるTVEL社のA. ウグリュモフ研究開発担当上級副社長によると、現在、VVER-1200向けの第5世代の燃料集合体、MOX燃料およびクロム被覆の燃料棒、完全自動化ペレット製造の新技術の開発まで試験的に進めており、将来的には、これらの技術を全部盛り込んだ次世代燃料として一本化する方針であるという。





