原子力産業新聞

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米国 ガス火力先行・SMR移行モデルを計画 AI需要に対応

13 May 2026

桜井久子

© Blue Energy

米国の原子力プロジェクト開発企業ブルー・エナジー社は55日、GEベルノバ社とガス火力を先行導入し、その後原子力発電へ段階的に移行する発電モデルを発表した。同モデルは、米国における人工知能(AI)向け電力需要の急増に対応しつつ、早期の電力供給と建設リスク低減を図ることが狙い。

両者はGEベルノバ社のガスタービンとGEベルノバ日立ニュークリア・エナジー(GVH)社製の小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」(30万kWe)を用いた発電所の設計・開発を行う。まず実績あるガス火力で早期に電力供給を開始し、その後SMR により長期的なクリーン電源へ移行する構想だ。初号機をテキサス州にあるブルー・エナジー社のサイトに建設し、近隣のデータセンター・キャンパスに電力を供給する計画である。両社はまた、2029年に同サイトへGEベルノバ社製7HA.02ガスタービン2基を納入し、早期に電力供給を実現するため、納入枠予約契約を締結した。

さらに両社は、サイト現場での建設ではなく製造工場や造船所でモジュール生産し、バージで輸送・設置する方式を検討している。工期短縮や建設費削減に加え、サイト周辺の地域社会や州に至るまでのサプライチェーン全体で数千もの雇用創出効果も見込む。

なお、ブルー・エナジー社は202512月、米原子力規制委員会(NRC)から、原子力発電所の建設段階を再編成するアプローチの承認を受けている。同アプローチでは、非原子力設備を先行整備し、早期に収益化することで、原子力プロジェクト特有の長期投資リスク低減を狙う。まず非原子力かつ安全性に直接関与しないインフラのオフサイト製造と現場設置から着手。原子力コンポーネントが許認可および建設段階を経ている間にも、機器製造やインフラ整備を進めつつ、ガス火力による電力供給を開始できる。ブルー・エナジー社は、これにより、従来の原子力発電所の建設工期を少なくとも5年短縮、ガス発電開始までの時間を48か月以下に大幅に短縮し、原子力発電プロジェクトでは初めて設備投資の大部分について、将来の売電収入を裏付けにプロジェクトファイナンスを成立させやすくなるとしている。

両社は近い将来、ブルーエナジー社の建設許可申請に向け、サイトの予備的な安全分析作業など必要な開発や特性評価作業の実施で契約を締結する予定。ブルー・エナジー社は2027年には最終投資決定し、NRCに建設許可の申請を計画している。ガスタービンは早ければ2030年に約100kWeの電力を供給すると見込んでいる。その後、蒸気供給に切り替え、BWRX-300は早ければ2032年に稼働を開始、合計約150kWeの電力を供給する計画だ。

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