フィンランドの地域熱供給向けSMR 規制当局間で合同早期レビュー
22 Jul 2026
フィンランドの小型モジュール炉(SMR)開発企業ステディ・エナジー(Steady Energy)社は7月3日、同社製の地域熱供給向け小型モジュール炉(SMR)「LDR-50(出力5万kWt)」に対する国際合同早期レビュー(Joint Early Review: JER)について同国の放射線・原子力安全庁(STUK)が取りまとめた概要報告を明らかにした。フィンランド、スウェーデン、ポーランド、チェコ、ウクライナの5か国の規制当局が、それぞれの安全規制に基づいてLDR-50の設計概念を評価した結果、各国の安全要件に従って開発を進める上で根本的な障害は確認されなかったと結論付けている。
今回のJERは、ステディ社が概念設計に対する早期の規制当局からのフィードバックを目的に、STUKに要請して実施されたもの。5つの原子力安全規制当局-フィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)、スウェーデン放射線安全局(SSM)、ポーランド国家原子力機関(PAA)、チェコ国家原子力安全局(SÚJB)、およびウクライナ国家原子力規制検査局(SNRIU)―が、それぞれの国内規制枠組みに照らして、LDR-50の原子炉コンセプトを独立して評価した。なお、JERは自発的かつ拘束力のない活動であり、共通の規制上の立場や拘束力のある決定を導き出すことを目的とはしていない。
評価は、2025年初頭にステディ社が公開したLDR-50の設計文書と、同年夏に完了したSTUKによる概念設計の安全性評価に基づいて行われた。審査の結果、設計文書は初期の概念設計段階としては適切だが、許認可レベルの結論を下すには不十分とする一方で、どの規制当局においても、開発が次の段階へ進むことを妨げるような根本的な原子力安全上の問題は確認されなかった。
また今回のレビューでは、多重防護を軸とした安全哲学や固有・受動的安全機能を広く採用し、事故初期段階で運転員の迅速な対応への依存を低減する設計を強みとして評価。一方で、今後の許認可に向けては詳細設計や安全解析、技術文書などの整備が必要とされた。
今回のJERは、複数の規制当局が先進的なSMRのコンセプトを評価するにあたり、他の規制当局が実施した初期段階の安全性評価を参考資料に活用した先駆的な取組みである。ステディ社は、この経験が今後の国際的な規制協力の強化につながると期待しており、フィンランドおよび国際市場での実装に向けた詳細設計および将来の許認可手続きを念頭に、LDR-50の開発を引き続き推進していく方針だ。
LDR-50は、地域暖房向け熱供給専用SMR。高さ約10mの地下埋設型で、複数の重要な安全機能を備え、地域暖房ネットワークに近い都市部での立地が可能である。現在、フィンランドのヘルシンキ、クオピオ、ケラヴァで3プロジェクトに取り組んでおり、昨年12月には、韓国最大の地域熱供給会社である韓国地域暖房公社と協力協定を締結。今年1月には、フィンランドの電力会社フォータム社とフィンランドとスウェーデンで運転・保守サービスの協力を得ることで合意している。





